506 名前:名無しさん sage New! 投稿日:07/02/08 00:02 ID:oNdkxvO2
ありふれたアメリカの田舎町、その片隅にたたずむ薄汚れたビンゴホール。若くして
日本プロレス界のトップイベンターに昇りつめながら、他の選手の輝きを奪うほどの天才性と
誤解され易い人柄のために周囲から疎まれ厄介払い同然に海外遠征を命じられた武藤めぐみは
このうらぶれたプロレス会場で最大の窮地を迎えていた。

ヘッドロックの攻防からコーナーへ振られるめぐみ。
「嫌ぁ!」
本来なら何ということもないムーブだが、めぐみの口から思わず悲鳴が飛びだす。
ニュートラルコーナーで彼女を待ち構えるのは恐ろしげな刃を生やした有刺鉄線ボードだ。
「あうっ……痛…!」
深々と切り裂かれた右腕から血が流れるが、相手はめぐみに嘆く暇も与えない。
有刺鉄線に絡めとられためぐみに向かって対角線に走り込み、対戦相手が跳躍する。
リング上のパイプ椅子を踏み台にしての串刺しレッグラリアット!
「ぐえぇっ…」
圧倒的な加速度で脚を喉元に叩き込まれ、さらに勢いよくボードに突っ込むめぐみ。
『オーマイガッ!ホーリィシット!』
男ばかりの観客が発する異様な熱気の中心にあって、天を指すパフォーマンスで歓声に応える中東風衣装の女。
(こんな相手に…負けるはずないのにっ…)
ここはハードコアレスリングの聖地『ECWWアリーナ』。
アメリカインディー界の重鎮『アラビアの魔女』サラーラ・ダビの舞踏場である。
507 名前:名無しさん sage New! 投稿日:07/02/08 00:05 ID:oNdkxvO2
いかにインディーマットで名の通った存在とはいえ、日本国内で敵なしとまで言われた
武藤めぐみが苦戦するような相手ではないはずだった。身体能力も技の精度もめぐみが
上回っていたが、反則裁定無し・エニウェアフォール制という究極の対戦方式が彼女を苦しめる。
(まずは動きを止めないと…!)
椅子やロープを利用してリング内外を飛び回る相手に、天才武藤めぐみは脚殺しを狙う。
一瞬の隙をついた低空ドロップキックが決まり膝をつくサラーラ。
「死ねぇぇっっ!!」
設置されたままの椅子を今度はめぐみが駆け上がる。シャイニングウィザード!
顔面に鋭角的に膝が突き刺さり、人体が破壊される嫌な感触がめぐみへと伝わった。
(やりすぎたかな?…まあいいや。どうせすぐ日本に帰るんだし)
勝利を確信しフォールを奪いに行こうするめぐみ。だが。

「良い技ね……。すごく、良い選手ね。あなたは」
へし折れて血を吹き出す鼻をこともなげに矯正する─というより強引に曲げる。
「さあ、続きをしましょう」

「……ひぃっ……」
場外へ出て、仕切り直す。
体の命じるままリングを降りるめぐみだったが、この考え自体が敵前逃亡を正当化するものに過ぎないことに
彼女自身気付いていない。第一、エクストリームルールにあっては場外は安全地帯ではないのだ。

人の群れをかき分けてめぐみは観客席を進む。
中には傷ついたコスチュームに手をかける不埒者もいるが、すでにそんなことを気にする余裕もなくなっていた。
逃れなくては!「──何処へ?」
血塗れのサラーラ・ダビがただ歩み寄るだけで潮が引くように観客の塊が割れていく。
プロレスラーの凄味、あるいは狂気を体現した女だ。
相手に背を向けたままのめぐみの後頭部に衝撃が走る。
畳んだ椅子を投げ当てられたのだ、と理解するかしないかのうちにうつ伏せに倒れこんだ
めぐみの体は万力のような力で押さえ込まれ、顎を掴んで引き上げられる。
508 名前:名無しさん sage New! 投稿日:07/02/08 00:06 ID:oNdkxvO2
「ひぎぃぃぃぃ!!」
昨今のプロレス界で繋ぎ技に使われるそれとは全く違う、漫然と胴を責めるのではなく首関節を極める本物のキャメルクラッチだ。
「ギブ!ギブアッ……ぷぐぅぇっ…」
「今のあなたは苦痛から逃れようとしているだけ」
ギブアップを受け入れず、片手でなおも締め上げながらサラーラは自分のブーツに仕込んだものを取り出す。
「………!!!」
鋭い痛みが走り、流れ出す鮮血がめぐみの視界を覆った。
(釘!?わたしの額を─刻んで─)
「いやぁぁぁぁ!!」
ざくり、ざくり。
「あなたには豊かな才能がある。この痛みは洗礼だと思いなさい
苦痛を、恐怖を、受け入れて」
「ぐぐ……狂ってるぅ……あ……あっ」

垂れ下がった腕が弱々しく床を叩くのと、レフェリーがゴングを要請するのはどちらが早かっただろうか…
ひとつの戦いが終った。だが、めぐみの海外遠征はまだ始まったばかりなのだ。
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