333 :名無しさん:2007/10/20(土) 23:30:54
「ぅ…ん……。 もう朝か…。」
ベッドから体を起こし、いつもどおり髪形を整える新咲祐希子。
「ん…? …………ま、いっか。」
鏡を見たときに感じた違和感…。しかし細かいことをあまり気にしない大らかさは新咲祐希子の持ち味だ。
朝食の用意をし、いつもどおりカレーを口に運ぶ。
「あれー?カレー5杯でお腹いっぱいになっちゃった。 …ま、美味しかったからお昼にまた食べよっと。」
……しかしいつもより早く満腹になったこともあまり気にせず道場に向かう新咲祐希子。
いつもどおりの練習、ロードワーク…。いつもより早く息があがり、休憩を挟む。
休憩の間に次の興行の予定に目をやる新咲祐希子。
「次はタイトルマッチだっけ…相手はだれだったかな。WARSの龍子か。
 ……あれ?あれ?なんで市ヶ谷と龍子の試合がメインイベントなの? あれ?なんで市ヶ谷がベルト持ってんの?
 え?あたしは?あたしは?? ……えーーーーっ!?」
社長室に飛び込み社長に文句を言いはじめるものの、社長は祐希子をなだめ説明をはじめる。
『だいたい何をそんなに怒ってるんだ?最後から数えても3試合目じゃないか。
 相手は菊池だし、お前に華を持たせるには充分の相手だと思うが何が不満なんだ?』
「だからおかしいって言ってるんじゃないですか!なんであたしがメインイベントじゃないんですか?
 そもそも、なんであたしが持ってるベルトなのに市ヶ谷と龍子がタイトルマッチなんですか?」
『は?ちょっとまて。 お前今日はちょっとおかしいぞ? お前が持ってるのはジュニアのベルトだろ?
 ……いいか? お前は入団当初はそこそこ勢いがあったさ。だからこっちも目をかけてやっていた。
 しかし、少し遅れて入ってきた同期のハイブリッド南には差をつけられて、
 後輩のジャスティス越後との差も詰まってる。
 それどころか、2年も後輩のスイレン草薙にはこないだコテンパンにされてたじゃないか。
 スイレン草薙はまだデビュー2年目だぞ?
 会社としては、4年目でトップもはれないお前よりも草薙をもっと売り出したいんだよ。』
「ちょっと待ってください!あたしが草薙にコテンパンにされた? 社長何言ってるんですか?
 夢でも見てるんじゃないですか? あたしはマイティ祐希子ですよ? あたしが草薙に負けるはず…」
『おまえこそ夢でも見てんじゃないのか? マイティ祐希子ってなんだ? 笑わせるな!
 お前のリングネームは新咲祐希子だ。 トップの市ヶ谷を倒すのは南にまかせとけ。
 …お前には華もない。だから黄色いコスチュームを着させて少しでも目立たせようとしてるんだ。
 お。そうだいい事を思いついた。
 お前その茶色の髪の毛を染めないか?真っ赤にでもしたらきっと目立つぞ。はっはっは。
 そうだなぁ…お前がここまで噛み付いてくるとは思いもしなかったが、
 久々に同期の南と試合させても面白いか。』
「……南に勝ったら、市ヶ谷と試合させてもらうわよ。もちろんベルト付きでね」
『南に勝ったら考えてやるよ。』
342 :名無しさん:2007/10/22(月) 02:17:25
>>333
『社長に直談判して私との試合を組ませたって聞いたけど…とんだ肩透かしだったわ。』
「う……動けない………。 こ…こんな…はず…じゃ……ぁあぁぁっぁぁあああ!!!」
南のコブラツイストに捕まり、悲鳴をあげる新咲祐希子。
試合は南のペースで進み…いや、完全にハイブリッド南の試合になっていた。


「え?アイアンマン・マッチ?」
『そうだ。アイアンマン・マッチ。
 今度の試合はお前の要求を呑んでカードを変えてやる。』
「え?本当に!?」
『ただし条件付きだ。 その条件がアイアンマン・マッチだ。
 この前も言ったが、お前は中堅としては良くやってるよ。でも華の無いお前じゃ客を呼べないんだ。
 南は時期エースとして期待している。だからセミファイナルで試合を組むことにした。
 でもその後には世界ベルトをかけて市ヶ谷とWARSの龍子がタイトルマッチをするから、
 その前にショボい試合なんかできないだろ?
 もしセミファイナルが5分で終わったりしたら冗談じゃ済まねぇんだよ。』
「はぁ…。」
『そこで、60分のアイアンマン・マッチだ。
 試合は必ず60分だから、市ヶ谷も龍子もベストな状態で次の試合に望めるし、
 うちじゃ初めてやる試合形式だから話題にはなるだろう。しかも同期対決だしな。
 60分間決別の死闘!なーんつって広告打ってな。
 ま、20分くらい耐えてくれれば盛り上がるだろうから気にすんな。』
「……え?」
『ん?あぁ20分で限界来ても、きっちり60分やってもらうから安心しろ。』
「…つまり、あたしが負けると思ってるんですか?」
『は? いまさら何言ってんだ? さっきから言ってるだろ? お前じゃ試合にならないだろ?
 そのためのアイアンマン・マッチに決まってるじゃないか。』
「…いいわよ。やってやろうじゃない。 …でもあたし勝ちますよ?」

343 :名無しさん:2007/10/22(月) 02:18:27
「……うああぁぁぁぁ!!!」
南の関節技から逃げられない祐希子。
しかし、それは今までに何度も味わった南の"関節にダメージを与える関節技"とは違っていた。
今、祐希子は微動だにできなくなっていた。
南のコブラツイストは祐希子の全身を完全にコントロールし、祐希子の動きを完全に奪っていた。
吸い付くような関節技に捕らえられた祐希子は、南の腕の中で悲鳴を上げる…。
『はぁ…こんな試合に付き合わされるなんて堪ったものじゃないわ。』
「うぅが…っ!!」
…気が付くと、コブラツイストの脇が少しずつ緩くなっていることに気づく祐希子。
苦しさに負け、身体を捻り、緩んだ隙間に逃げ込んでダメージから逃れようとする…
『……そろそろ20分ね。 ここまで良く耐えたわね。 そろそろ…本気出すわよ…。』
緩んだ隙間に挟まった祐希子の身体をガッチリホールドすると、一気に絞り上げ、更に捻りを加えていく…。
「あ゛…………っ!! ぅ…ぇぁ………」
まるで雑巾のように絞り上げられる祐希子。肺から空気を搾り出され、あばら骨がギシギシ軋む。
上半身がバラバラに引きちぎられる圧力に、もう一秒足りとも耐えられない。
「ギブ…ぅあああ!!!ギブ…ギブアップっ!!!」
得意の飛び技で応戦し、南を跳ね飛ばす祐希子。
しかし、徐々に充分なキレを持たない飛び技は紙一重でかわされはじめ、
次の瞬間に生まれる隙を突かれて押し倒されては関節技に持ち込まれる。
ワキ固め、逆エビ固め、膝十字…この20分南の関節技地獄にもがき苦しんだ祐希子。
時期エースの南の関節技に20分耐え抜いたのは及第点といえる。
しかし、南と社長の2人だけは真相を知っていた。

南は手加減をしていた。
ハイブリッド南が本気をだせば、新咲祐希子が15分すら持たないことは分かっていた。
しかし、そんな短時間で試合が決まっては南にとっても美味しいところが無い。
祐希子の鈍い蹴りをわざわざ受ける。逃げられるように緩くかけた関節技。
しかし20分経った今、セーブした力は解禁された。その途端、南は祐希子を豪快に捻り潰した。
≪カーンカーンカーン! 20分32秒!新咲祐希子ギブアップ!≫
『さぁ…これからが本当の試合開始よ。 残りの40分は休む暇なんてないわよ』
「くっ…。 そうね。これからが本当の試合開始よ。 すぐに3カウント奪い返すわっ!」


…………………………
≪カーンカーンカーン! 28分26秒!新咲祐希子ギブアップ!≫
……………………
≪カーンカーンカーン! 32分13秒!新咲祐希子失神KO!≫
……………
≪カーンカーンカーン! 35分59秒!新咲祐希子ギブアップ!≫
………
関節技の苦手な祐希子にとっては、もともと南は相性の悪い相手の一人で、
負けることも少なくない。そうでなくとも苦しい試合になるのは間違いない。
しかし今日ばかりは後悔した。
試合を最後まであきらめない根性と負けん気の強さを持つ祐希子が、試合中に後悔をしていた。
「ううぅぅぅぅぅぅぅううぅうう…ぐぐ……ぐうぅぅぅぅぅ……。」
祐希子の首に巻きついた南の腕…。祐希子の腕は真後ろで十字に組まされ、抵抗できない…。
「あが………う………っぐ…………。 ……………………。 ……………………。」
呼吸を奪われ、口をパクパクとさせる祐希子。
『……もうギブアップなんてさせてあげない。』
「〜〜〜〜っ!! 〜〜〜〜〜〜っ!!!! ………………………。」
ガックリとうなだれ、力なく涎を垂らす祐希子。
≪カーンカーンカーン! 42分27秒!新咲祐希子失神KO!≫
祐希子の頬を叩き意識を戻させると、即試合再開。
ファイティングポーズをとる祐希子の身体に南のキックがつきささり、たまらずぐらつく祐希子。
その頭を押さえて首相撲の体制から、祐希子の腹を貫くような鋭い膝蹴りで身体を打ち抜き、
膝から崩れ落ちていく祐希子。 涎を垂らした顔を歪め、腹を抱えてうずくまる祐希子。
「ぐえぇえぇ……うえぇ……。 おえぇぇぇぇ……。」
≪1…、2…、3…、4…、5…、6…、7…、8…、9……、10!
 カーンカーンカーン! 46分03秒!新咲祐希子KO!≫

344 :名無しさん:2007/10/22(月) 02:19:37
既にスタミナは底を付き、動きの鈍くなった祐希子は南から逃げることすらままならなくなっていた。
「あが……うげえぇ………ぅ…ぁ……」
すぐタックルで潰され、スピニングチョークに捕まった祐希子。
すぐにタップをする祐希子だが、南が離さない。
≪1…、2…、3…≫
反則カウントが進むが、祐希子が先に力尽きそれを確認して南が手を離す。
≪カーンカーンカーン! 47分10秒!新咲祐希子失神KO!≫
意識を取り戻し、リングを這って逃げようとする祐希子。背中に乗り釘付けにする南。
そのまま両腕を脚に挟みこみ、両手で祐希子の鼻と口を抑える。
呼吸とともにギブアップする手段を奪うキャメルクラッチ。
「ふぐぅぅぅ……ぐうぅぅ……ぃぐぅぅぅぅぅぅぅ…」
この試合はただのアイアンマン・マッチではなかった。
他にも、祐希子のキャラ付けの意味もこめられていた。
4年目の新咲祐希子。これ以上劇的な成長は見込めない。
二流の団体なら新咲祐希子もエースになれただろう。
しかし、市ヶ谷・南・草薙を擁するこの団体では中堅でしかない。
このまま中堅で終わっていく新咲祐希子をより生かすには……。
ベビーフェイスとしてそこそこ実績があり、少々地味だが見た目は良い新咲祐希子。
――――やられ役にしてしまえ――――
≪カーンカーンカーン! 56分01秒!新咲祐希子失神KO!≫
そして最後のとどめ…。祐希子をドラゴンカベルナリアに捕らえ…
「がは………ううううぐぐぐぐぐ………あぐぅぅぅ………。 ……………くふぅ。」
≪カーンカーンカーン! 59分45秒!新咲祐希子失神KO!≫

……この日を境に、アイアンマン・マッチは団体のみどころの一つとして度々開催されるようになった。
新咲祐希子にも集客力がついた。
正確には、通常の試合では今までとかわらないが、アイアンマン・マッチを行う時に限り集客力がついた。
トラウマとなっているのか、新咲祐希子はアイアンマン・マッチでは徹底的にボロ雑巾にされてしまう…。
そして、その姿を楽しみにするファンが増えたのだった。
新咲祐希子には大きな売りが出来た。
祐希子のキャラは、会社やファンに加え、後輩を含む選手たちにも受け入れられていった。
……中で苦しみもがくマイティ祐希子を除いては…。

ハイブリッド南 ○ (9 − 0) × 新咲祐希子
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