690 :『 RED & RED 』 ノエル石川vsアニー・ビーチ (by GO2):2008/03/06(木) 21:19:54

 ( ………今日は、楽勝ね! )
視線の向こうにショートスカートのワンピースのような赤いコスチューム、赤いリボンだらけの長髪の少女・ノエル白石を見て、
心の中で密かに喜んでいたのは日本でもお馴染みのレスラー、アニー・ビーチだった。

輝くブロンドの髪はピンク色の大きいリボンでポニーテールに結わえられ、
弾けるような肢体を包むコスチュームは胸の谷間あたりをハート型にあけた赤いビブショーツだが、ウェットスーツを思わせるデザインの為、
レスラーというよりもマリンスポーツをする女の子のように見える。
だが「ビーチ」というセカンドネーム、そして試合前に必ずビーチボールを手に持っての入場・・・これら全ての符合から
彼女のキャラクターは非常に掴みやすく、また、陽気で健康そうな彼女には似合っているとも言える。
可愛らしい顔と愛嬌が良く明るい性格、それに魅せるプロレスと流暢な日本語で新女でも人気者の彼女なのだが、
そういったファンサービスやプロレス的視点を意識できる辺りも人気の秘訣なのだろう。

しかし、体格が小さく実力的にも安定しない彼女は白星に縁があるとは言い難かった。
だからレスラーとして今日の対戦を喜んでいるのだ。
自分より5cmほど小さく、体も華奢。
そして・・・
 「……何処を見ているのかしら?」
試合開始はまだとはいえ、リングの上で対峙しているというのに目の前のノエル白石は周囲や天井に視線を泳がせる仕草を見せている。
 「………だれか……………呼んだ………?」
時折自分の名前を叫ぶ声援にさえ素の反応で耳を傾ける始末。この試合にかける意気込みがまるで感じられない。
ここまで来ると、呆けていると言っても語弊を生まないかもしれない。

ノエル白石のコールの後に入った彼女へのコール、彼女に送られる声援。
 (こんな相手なら、良い所見せられそうだわ!)
彼女は嬉しい気持ちを抑えながらその声援にいつものように応える。
そして、試合開始のゴングが鳴らされた。

 “カァンッ!!”

手四つの構えでゆっくりとノエルに近づくアニー。
だがノエルは自分のコーナーで棒立ちのまま相手を見つめているだけだった。
 「COME ON! かかってらっしゃあいっ」
アニーが誘う。するとようやくノエルは左手を上げ、手四つに応じようとする仕草を見せた。
そして両手と両手を合わせたその瞬間。
 「………んっ…。」
 “だんっ!!”
 「!!?」
目の前のアニーにさえ聞こえるか聞こえないかというくらい小さな、ノエルの力む声。
その声を聞いた瞬間アニーは手四つ状態のまま、ニードロップをマットに打つように片膝をついた。

691 :『 RED & RED 』 ノエル石川vsアニー・ビーチ (by GO2):2008/03/06(木) 21:20:59
突然両手に大きな岩でも乗せられたかのような重圧に彼女は戸惑いを隠せなかった。
 (そんなっ……こんなに細い腕なのに……っ!?)
重圧をかけるのが目の前の細い腕、細い体のノエル石川だという、その現実に心底驚愕していた。
 「う……く、ああぁっ……!」
 「………。」
ノエルは今度はしっかりと相手を見つめているが、その顔は先程と変わらず涼しげな表情だった。
小さな口を小さく丸型に開き、見つめる瞳も先程と何ら変わりなく垂れ目で・・・と言うより、しっかりと開かれていない眠そうな虚ろな瞳。
だがアニーは、今度はその瞳に対して恐怖さえ覚えた。
 「くっ、うっ、ふぁっ…!」
 「…っ、っ、っ………。」
気合を入れつつ力む度に、ノエルの小さな口から吐息が漏れる。
状態は一向に好転しない。もはやジリ貧の状態だ。
 (ちょっと……Dangerousな娘かも……)
予想が外れたアニーは焦り始めた。ノエルの放つ雰囲気に彼女はつい忘れてしまっていたのだ。
ハードな新女にこの手のレスラーが珍しくない事を。
今はともかく、明るい女の子らしい性格だがひとたびリングに立てば別人のように女王の顔になるマイティ祐希子。
リング上では不屈の闘志を見せる次世代エースコンビの片割れ、日常ではおっとりしていて柔和な雰囲気を持つ結城 千種。
新女ジュニアの看板、ジュニアヘビー級チャンピオンとして激しい戦いをする・・・子供のように屈託で元気なムードメーカー、菊池 理宇。
そういった例がある以上、見た目の雰囲気あるいは体の小柄さに騙されてはいけない事を忘れていた。

 (これはもう、形振り構ってられないわね!)
 「くっ……ふっ!」
 「……っ。」
アニーは組んだ両の手を外側に大きく回すように下側に持っていく。
腰の高さで手を組み合う形にする事で、上で組む『押し倒す力比べ』から『上に引き上げる力比べ』に切り替えたのだ。
そのお陰で今度は立つ事が出来た。
 「ふっ、……っ……。」
ノエルは今度は上に引き上げようと力を込め始める。
立てたにしても力比べの体勢なだけにアニーの劣勢はさほど変わっていないと言えるだろう・・・このままでは両手首を極められてしまう。
この体勢を続ける、のであればだ。
 「たあッ!!」 “ドッ!!”
なんとか状況を打破しようと思った彼女は、立てたお陰で放つ事が出来る膝蹴りでノエルの腹を蹴った。
ノエルの小さな口から「ふっ!」という小さな呻きと共に、息と微量の唾液が吐き出される。
力比べで引き上げようと体を反らせた体勢になっていた為に、突き出したおなかにまともに膝蹴りを食らってしまっていた。
 「く、はあ」
 (ここで攻勢に出ておくべきね。)
アニーは力比べで少し痛みが残る手を押さえながら、次の攻撃を仕掛けようとやや前のめりのノエルを掴まえようとする。
が、
 「ん…ぅんん〜」
ノエルはすぐさま体勢を整え、逆にアニーの首を両手で掴む。
 「わっ!?」
 「……ぁっ。」 “ドフッ!!”
 「がふっ!」
喉の奥で唸ったと思うと、お返しと言わんばかりにアニーの腹に膝を叩き込んだ。

692 :『 RED & RED 』 ノエル石川vsアニー・ビーチ (by GO2):2008/03/06(木) 21:22:45
 「あっ、が! げぶぅっ…」 “ぼたたたっ”
不意に食らった唐突な反撃に彼女はおなかを押さえて体を折り、半透明の液体を口からマットに落とす。
 (効いてない……?そんな…)
十分な体勢でなかったにしろ、まともに膝蹴りを食らわせたのだ。
それなのに目の前のノエルは無表情の涼しい顔で手痛い反撃を繰り出した。
その一撃もまるで一流パワーファイターを思わせるような重さだったのだ。
それが彼女の焦りを更に煽った。
 (組みつかれたら負ける!) 「あ、はあ…ぐっ!」
崩れそうになる両膝に鞭打ち、ノエルから離れてロープに飛ぶ。
 「…。」
突然走り出したアニーを追ってノエルがリング中央あたりに寄っていく。
アニー・ビーチの得意分野と言えばやはり、大きくない体を補う為の飛び技だろう。
ロープの反動を利用して得意の攻撃を仕掛けようとノエルに向かって彼女は走った。
 「…っ」 “ぶんっ”
だが動きが緩慢なノエルと言っても序盤の体力がある内からこれをまともに食らうわけがなく、ラリアートをカウンターで繰り出す。
 「ほっ」
アニーも馬鹿ではなく、読んでいたカウンターを潜り抜け、その先にあるロープで再度反動をつける。
 「ヤアッ!」 “だんっ!”
彼女は走った勢いを使って思い切り踏み切り、ランニングネックブリーカーを仕掛けた。
が・・・。
 “ガチッ”
 「…ぅっ…」
 「!?」
飛びついたアニーの体がノエルの首をロックした所で一瞬静止する。
思い切り全体重を乗せた技が止められ、アニーは驚きの表情になった。
 「ん…ぅぅん〜〜っ。」
ノエルの踏ん張る小さな声。
と、逆にそのままスクラップバスターのような形でアニーをマットに叩きつけた。
 「んっ。」 “ばぁんっ!!” 「がっはッ!!」
またも食らった予想外の反撃にアニーが苦痛の表情を作る。
今度はノエルが自分から技を仕掛けようと、依然変わらぬ無表情のまま、悶絶するアニーを起こそうとする。
 (……技が通用しない……!?)
今や彼女は例えようもない焦燥感にかられ、意図せず、普段の明るいプロレスを捨てるという選択肢を選んでいた。
 「ハアァッ!!」 “バシィンッ” 「…ぅっ。」
頭を持って起こされる際、その立ち上がり際にエルボーをノエルの横面に叩き込んだ。
ノエルの首がしなり、顔が半回転するように横を向く。長い髪がそれに合わせて宙になびく。ぐらりと体勢が崩れる。
 (これで……っ!?)
 “バシィッ!”
 「きゃあっ!!」
だが、またも返ってきたのは反撃だった。
崩れた体勢から振りかぶるようにエルボーをアニーの顔に打ち込むと、アニーは吹っ飛んで倒れた。
 「こ、こんな……」
 「……。」
彼女は、今度は思わず小さく呟くように胸中の思いを口に出してしまう。

693 :『 RED & RED 』 ノエル石川vsアニー・ビーチ (by GO2):2008/03/06(木) 21:25:29
無理も無い。自分より明らかに身長も体重も無いノエルに、まるで大型レスラーと戦っているような重圧をかけられているのだ。
 (痛みもダメージも無いの……?どうしたら……)
突破口を見出せない彼女の脳裏に、試合開始直前と違う思惑がよぎる。
 (負けたら……ちょっと恥ずかしいかも……)
サイズ差のある相手に負ける、しかも今はまだ無名の選手に。
戦う者としてはやはりプライドが傷付く部分があるだろう。
それに試合を観る側からすれば、負けた方の不甲斐無さを嘲る感想を持つ者がいてもおかしくない。
敗戦の色が強く浮き上がって見えてきた彼女は、思わず負けた時の事を考えてしまっていたかもしれない。
だから彼女は思ったのだろう。
 (同じ負けるにしても……全て出し切らなきゃ)
悔いの無いように、全力で。レスラーとして。
そう決心し、口の端の血を拭って立つ彼女は鋭い視線でノエルを見る。
 「……。」
ノエルは涼しげな無表情で近寄ってきている。
 (思いっきり技を叩き込むしか!)
 「ヤアーッ!!」
その寄ってくるノエルに向かって彼女は低空のローリングソバットを放った。
  “ドムッ!!” 「ふぅっ!」
踵がノエルの腹にめり込み、ノエルはお尻を突き出してくの字になる。
が、すぐにノエルは体勢を戻そうとし始める。しかし彼女は今度は間をおかなかった。
 「てやぁッ!!」
くの字になったままを維持させるように押さえ、ノエルの腹に立て続けにニーリフトを入れる。
 「フッ!ヤッ!ハぁッ!」
膝を叩き込む度にノエルの小さな体や長い髪、小さいお尻が揺れる。
 「…ぅっ……ぅっ、ぅっ、ぅっ…」
顎を上げて、小さな口から吐息と唾液の飛沫と小さな呻き声を吐き出す。
アニーはペース配分を考えず一発一発全力で、ノエルの腹に膝を叩き込み続けた。
 「そりゃああぁぁ〜ッ!!」
 “ドムッ!!!”
 「…ふぅっ!!」
数発の後、アニーが最後に思いっきり一発叩き込むとノエルの踵が一瞬マットから離れ、ひときわ大きい小さな呻きがあがった。
 「はあ、はあ、はあ……」
 「………。」
息切れをしたアニーの動きが一瞬止まる。ノエルにはダウンする様子がなかった。
 (反撃……!?)
アニーが反撃の気配を感じ、警戒する。
 「………。」

694 :『 RED & RED 』 ノエル石川vsアニー・ビーチ (by GO2):2008/03/06(木) 21:27:01
しかし、今度は反撃は来なかった。アニーは不意にノエルの様子が気になり視線を顔へと向けた。
そのノエルの表情は試合中ずっと見てきた、覇気の無い目。円形に小さく開かれた小さな口。
先程と変わらぬノエル白石がそこにいた。
 (マ、まず………え?)
またもダメージが無いと見た彼女。だが、そのノエルに異変が起きていた。
体をくの字にし、おなかを押さえたまま無表情で動かないノエル。
良く見るとその体は小刻みにふるふると震え、丸く開いている小さな口からは涎が糸を引くように垂れ始め、
下がっている目尻ではっきり開かれていない瞳からは、「じわっ・・・」と涙が滲み出し、頬を伝わり始めている所だった。
 「………ぅっ………っ、ぁぁ〜っ……」
ぽたぽたと涎と涙がマットに落ち始める。
もう蹴っていないのに呻く。何の事は無い。さすがにまったく効いていなかった訳ではなく、天然ポーカーフェイスの為に外側に表れていなかっただけなのだ。
 (き、効いた!?)
彼女は胸中驚きながらも喜びの声をあげていた。
 「NOW!! 」
一気呵成に出ようとノエルをリング中央に引き寄せようとする。
だが、アニーがノエルの首根っこを掴んで引いた瞬間・・・ノエルはおなかを押さえたまま両膝をついてしまった。
 「……ぇっ………げっ。」
 “ぼたたたたっ”
小さな口から押し出されるように半透明の液体がマットにただれ落ちる。あれだけ腹を蹴られれば無理も無いだろう。
 (…CHANCEは今しかないわ!)
・・・後に冷静になれば彼女も気付くだろう。ノエル白石が痛みを感じない化け物ではなく、ダメージが見えにくい人間だという事に。
ただ、この時の彼女は焦燥感にかられ目の前のチャンスを逃したくないという逸る気持ちで動いていた。
ノエルの頬を両手で持ち上げるようにして無理矢理起こし、再びエルボーをフルスイングで叩き込む。
 「エいぃッ!!」 “パグッ!!” 「…ぷぅッ!」
涎を撒き散らしながらノエルは派手に吹っ飛んだ。
吹っ飛んだ先にはロープが待っており、そこで一瞬 細身の体がエビ反りにのけぞるとロープは思い切りその体を押し返し、
ノエルは叩き付けられるようにマットに倒れこんだ。
 (もっと…もっと、今の内にDamageをっ!)
勝ちを急ぐアニーは倒れたノエル対し追撃の手を休めなかった。
表に出さず苦しむノエルをよつんばいまで起こすとノエルから離れ、トップロープに一気に上る。
 「ぅ……ぁ〜っ………」
涙を溜めた瞳で、顔を片手で押さえフラフラと立ち上がるノエル。
ようやく二本足で立ったそのノエルにアニーは得意の飛び技を叩き込む。
 「てやああぁぁーッ!!」
 “ドカァッ!!”
 「ぱぁっ!!!」
アニーのスピードの乗ったミサイルキックに、ノエルのほっぺたに揃えた足の裏が押し付けられる。
ほっぺに押されて塞がれた左目の端から、涙を宙に尾を引くように流れさせつつ、ノエルは転がるように後に倒れこんだ。
 “ばんッ”
後頭部を打った後、そのまま後に転がりうつ伏せに倒れる。
“びたんっ…”
そして、大技を決められたアニーはフィニッシュに入ろうとしていた。
倒れて動かなくなったうつ伏せのノエルの手を取りニュートラルコーナー近くまで引きずると、両手でノエルの体を仰向けに返させた。
そして急ぐようにコーナー最上段を目指す。
 (………ゎたし………ギブァップ………………する………)
朦朧とする意識の中、もう痛い思いをしたくないノエルの、心が折れる音が響く。

695 :『 RED & RED 』 ノエル石川vsアニー・ビーチ (by GO2):2008/03/06(木) 21:29:06
そんな音など聞こえないアニーは、今まさに自分のフィニッシュ技を繰り出せる位置まで来ていた。
今日は、いつものフィニッシュにいくアピールは無い。

 「とりゃあああぁぁぁぁ〜〜ッ!!」
コーナー最上段に前向きに立ったアニーが前転しながら宙を舞う・・・ダイビング式のサマーソルトドロップ。
 「………ぁっ。」
その瞬間を、ノエルは見ていた。
自分に背を向け、弾けるような肢体を内側に丸めた赤いコスチュームのアニー・ビーチを。
 「………………ふぅ…………せん………………。」
誰にも聞こえなかった呟き。その呟きを押しつぶすようにアニーの回転式のセントーンが決まった。
 “バグンッ!!!”
 「ヵ゛ぼっ!!!」
腹部を、気を抜いた瞬間に思いきり圧迫されたノエルは、小さな口を限界まで開けて嘔吐物を噴射させた。
 「……ぁ………ぅっ、……ぁぅっ…ぁぅっ………」
今まで誰も見た事が無いと思える程、ノエルの目はまんまるに見開かれていた。
その瞳から絶え間なく涙を溢れさせ続け、口をぱくぱくさせるノエル。
 「これでぇっ!」
必死になっているアニーとしては念には念を押した、ダメ押しのつもりなのだろう。
 “がしぃっ……”
ノエルの両足を、両脇に抱えるように持つ。
 “ぐッ”
 「…ぁっ。」
そのままノエルの体を横に回転させて返し、ステップオーバーする。
 “だんっ!”
マットを踏み抜かんばかりの勢いで踏ん張り、腰を落とした。
逆エビ固めだ。
 「てやあぁぁぁ〜〜〜ッ!!」
後ろに倒れ込むような勢いでアニーは強引に反り返った。
ノエルの体はそれに合わせて反らされ、腰に強烈な激痛を与えられる。
 「…ぅっ………、ぁっ………」
その細い体が折れると思えてしまうほど反らされるだけ反らされ、ノエルから悲痛な呻き声が漏れた。

696 :『 RED & RED 』 ノエル石川vsアニー・ビーチ (by GO2):2008/03/06(木) 21:30:22
    (………ゎたし………)
 「…ぃっ………ぅぅっ…………ぁぁ〜………」
体力を奪われるだけ奪われ、それでもこの痛みから逃れようと・・・両手を動かしロープにさわる為に前に進もうとする。
 「〜〜てやああぁぁ〜〜ッッ!!」
抵抗を感じたアニーが逃がすまいとして、力む。
     (………私………)
 「………ぅぅ、………ぁぅ…………」
ノエルの眉が下がり、眉間に皺が寄る。呻く度に涎が垂れ、涙はずっと流れっぱなしだ。
完璧に決まった逆エビ固めは・・・ノエルの細い体がその場から動く事を許さなかった。
    (………も………ぅ………)
 「…ぅっ……ふぅぅ〜、…ぁぁっ…………ぁぁあ〜〜〜っ」
そして『痛み』という本能にさえ訴えかける刺激が、
 (………………………………………………………………………………………………だめ)
白石なぎさを完全に壊した。

 「ふう……ふわぁ、わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛〜〜〜っ!!」

彼女は火がついたように顔をくしゃくしゃにして泣き喚いた。

 「い゛た゛ぁ゛あ゛あ゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛ぎ゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛ぁ゛あ゛ぁ゛!!
   ぃ゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛!! ぎ゛ば゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛、ぎ゛ば゛ぅ゛、わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛〜〜〜!!!」

今まで見た事も無く、まさに想像もできなかったノエル白石の号泣・悶絶に、会場も驚きを隠せずざわめいていた。
 「えっ…!!? あ………」
突然の大きな泣き声にアニーがようやく逆エビを解いた。
 “カンカンカンカンカンッ!!”
そしてその瞬間、試合終了のゴングが鳴り響く。恐らくレフェリーがノエル泣き声の中に『ギブアップ』の宣言を確認できたからだろう。

試合は終わった。
 「うっ、うっ、うっ……ひっく、ぐす………」
しかし体も心も蹂躙されて立てないノエルは、うつ伏せで泣き続けるだけだった。
アニーはやっと自分がやりすぎた事を知り、呆然と勝ち名乗りを受けていた。

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この後、ノエル白石のインタビュー中にアニー・ビーチが彼女の身を案じて訪れたが、
呟くように「しょうがないです…風船にですから…」という謎の返答を残しだけだという。
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