698てみた:2008/12/20(土) 10:48:52
1.





「あら……はい、ええ……いえ、ここはお花屋さんですのよ? え? ええ、そうですよ〜。あら……まあ……」

 電話口に当てた口から、惚けた声が発せられる。いかにも、ぽややんとした声に、裏の無さそうな天然気味の口調。

「ええ、そうですかぁ……お花屋さんには用がない……はぁ……」

 困った顔で、またか……とばかりに首を傾げる。自分の前の仕事を知って連絡をよこしてくる人はそれ程多くないはずだが、今日の電話の主は始めての人だった。

「こまりましたわ〜、こういうお話はもう、断ろうと思っていましたの〜……そんな、泣かないで下さい〜」

 本当に、相手が切羽詰っている事は、電話越しにも良く分かる。

「では、お話だけでも〜……いえ、まだ受けると決めたわけじゃ……ええ、何なら代わりの者を向かわせる事ができるかもしれませんから〜……」

 少し、いい返事をしただけで、相手の口調が明るく変わる。

「はい、それで、ターゲットはどんな……まあ、そんなに若いのに……ええ、それは酷いですね〜……まぁ、おたくの選手さん達が……そうですかぁ……で、その選手の名前とか、どんな戦い方をするのかとか……」

 場合によっては、娘にこの仕事を紹介してもいいかもしれない。相手の実力次第だが、そろそろ、もう少し難しい仕事を経験してもいい年齢だと思う。
 だが、そんな思いは次の言葉でぶっつりと中断させられた。

「え……飛んだり、跳ねたり……間接技で……まぁ……名前は……メロディ……小鳩?」

 予想していなかった名前に、世界は狭いと思いながらも、今聞いたことが本当なら、どうしようかと首を捻る。

「また、後でご連絡いたしますわぁ……はい、ですけどぉ……いいお返事は出来そうですの」



「まあ、あれだけ痛い目にあわせてあげたのに、まだ懲りてないなんて、変わった人なのね」

 以前、仕事のターゲットになった団体のリングの上で、感慨深そうにため息をつく。普通なら、もう顔も見たくは無いくらいに酷い目にあわせたし、ここの有力な選手は今もベッドの上。それなのに、再戦を挑んでくるなんてと、こんな簡単な仕事で本当にいいのか不安になる。

「でも、こんなにプライドが大事なんて、プロレスって大変なお仕事なのね……」

 既に、本性は知られているから、今日はすぐに終わらせようと、最初から本気で行こうと、気持ちを切り替える。

(だって、こんな所に長居したら、何をされるか分からないものね)

 試合が終わったら、さっさと逃げよう。ファイトマネーは前金で貰っているから、後腐れなく消える事ができる。

「あら、やっと、来たのかし……ら……?」

 不意に、ざわめきが起こり、自然とその発生源へと視線が向く。

「あ………何を、やってるのかしら……」

 そこには、あまり飾り気の無い、急ごしらえのリングコスチュームに身を包んだ、母親の姿がある。

「うふふ……久しぶりね〜、元気にやってたかしら〜?」
「え……ええ……もしかして……今日の相手って……」
「そうよ〜、今日の小鳩の相手はママだから、覚悟してね?」

 美鷹がリングに上がると、流石にこれが冗談ではない事が分かる。本気でやるつもりなのは、尋ねるまでもなく明らかだった。

「…………あら、どうしたのかしらぁ?」

 小鳩の様子を不思議そうに見て、近付いていく。

「そんなに震えてぇ、試合になるの?」
「あっ……!!」

 小鳩が気付いたときにはもう、間合いに入られている。慌てて、体をひねって逃げようとしたが、その

前に美鷹の掌に顔を覆われて、マットに叩き落されている。
「さあ、折角だから、ママにどれだけ成長したか見せてもらおうかしら♪ うふふ……」

699てみた:2008/12/20(土) 10:53:14
2.





「んっ……くっ!!」

 手を伸ばし、掴みに行った腕は遠く、かと思えば隙だらけとなった体に肘が振り下ろされて、肺の中の空気を押し出される。

「はっ……ひぃ……!!」
 動きを止めたら何をされるのか分からない。だから、苦しくても動くしかなく、這うように、転がって逃げ出した。

「あらあらぁ、上手に逃げるわね〜……そんな逃げ方、ママは教えてないはずだけど……」

 逃げた先に、既に回りこんで、小鳩の腕を掴むと、片手で捻り上げるように極めてしまう。

「いぐっ……あっ……小鳩だって、しっかり練習してるのよ?」

 残された腕で、振り解こうと美鷹の足を殴りつけようとする。周りにはそう見えるはずのタイミングと角度で、素早く滑らせて、股間を殴りつけようと。いかに鍛えていても、鍛えられない場所を思い切り殴りつければ、いくらなんでも技を極め続けることは出来ないはずだ。

「あらぁ?」

 だが、それが届く事は無く、太ももに挟まれるような形で易々と止められてしまっていた。

「え……うそ……」
「まあ、ママの大事な所を狙ってくるなんて、確かに、成長したわね〜」

 小鳩の意図とは外れているが、美鷹は技を解いて、のん気に手を叩く。挑発なのか、意味があるのか、瞬時には判断が出来ないが、そう考えた時にはもう、遅い。

「でも、ママならこうするわね♪」

 小鳩のわき腹に、膝を落として踏みにじりながら、股間の肉に指を突き立てるような力で握り締める。

「ひぎっ……ぃ……あ………」

 痛みに悶絶したときにはもう、首に腕が回されて、固められてしまっていた。

「んっ……暴れなくていいのかしら?」

 体を反らし、そのまま、変形の弓矢固め。

「あっ……あがっ……はっ……あぐ……」

 首にしっかりと入っていて、背中の痛みよりもむしろ、呼吸が遮られる事が辛い。

「このまま落として……お仕置きと特訓、してあげるわね〜」

 完全に、落とそうとしている。それなのに、まだ終わらせるつもりは無いらしい。
 本物の刺客レスラーのやり方に、恐怖を覚えつつ、小鳩の意識は落ちていった。
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