941てみた:2009/01/18(日) 05:57:45
 試合が始まって10分。勝負は一方的なまま、決着しようとしていた。
「ふっ……!!」
 桜崎の伸ばした腕は空しく空を切り、電光石火の裏拳が無防備な頬を打ち抜く。
 試合開始から今まで、ただの一度も捕まえる事ができずに滅多打ち。メイド服の白いエプロンは、自分の血で所々赤く染まっていた。
「もう、無駄……諦めて……」
 一見、冷たい口調だが、相手を気遣っての言葉をかけて、足のふらついている桜崎に、もう立たないでくれと祈るような気持ちで構える。
「まだ……始まったばかりですわ……っ……」
 打たれすぎたせいでガードは下がって、顔を守れていない。その上、ダメージが足に来てしまっているのだろう。棒立ちに近い体勢で、素早い動きも出来そうに無かった。
「……忠告は、したから……」
 目に見えて動きの遅い対戦相手を、零の拳が逃がすはずがない。吸い込まれるように掌底が、桜崎の顔に打ち込まれて、新しい痣を作っていく。そしてそのまま、ロープまで運んで、ロープを背に倒れることも出来ない桜崎を滅多打ちだ。
「はぁっ……んぶっ……んぐぅうっ!! ふぶっ!!」
 何度打たれたか分からないほどの連打を受けて、桜崎の腕が完全に下がる。目は虚ろで、今ならどんな技でも入れ放題だ。
「あっ………」
 今、思い切り殴り飛ばせば確実に意識を刈り取れる。そんな確信があったが、このまま放っておいても倒れてくれそうな相手に、追撃をかける気にはどうしてもなれない。
「…………これ以上、やらなくても……」
 このまま、フォールして終わってしまおう。体格ではかなりの差があって、一度押さえ込めばそう易々とは逃げられないだろう。
 あんなに殴られて、意識も朦朧としているのだろうし、今押さえ込めばきっと、大人しく3カウントを聞いてもらえる。
 そう思って、桜崎の体を押し倒そうと、不用意に手を伸ばした。

942てみた:2009/01/18(日) 06:00:12
「……本当に、甘いお嬢様……」
 桜崎の体に手が触れる寸前、聞こえてきた言葉に、零の体が強張る。
 腕を引かなくちゃと、思った時に動けていなかった事が、最大のミスだった。
「あっ……しま……っ!?」
 手首を掴まれての飛びつき腕ひしぎ逆十字。スカートが翻り、足が跳ね上がってくる。
 関節技には気をつけなくてはいけないと、分かっていたはずだが、不意打ちでは仕方が無い。幸い、ロープは近くて、手を伸ばせばすぐに届く。ほんの僅かな時間、腕が伸びきらないよう耐えればいいだけだ。
「失礼いたします……!!」
 だが、来ると思っていた痛みとは別の痛みが、零の肘に電流のように走った。
「えっ……ああ……」
 桜崎の膝が、伸びた肘に綺麗に叩き込まれている。跳ね上げた足が思ったよりも低くて、ぶつかってしまっただけ、傍目からはそう見えただろうが、零の目には桜崎の口元が、笑みの形に歪んでいるのが見える。
「わざ……と……」
 二人の体が崩れるように倒れると、零の腕に桜崎の足が絡みついた。
「あら、事故ですよ……試合中にはよくある……ただの事故……」
 痛みに痺れた腕を、思い切り極める。
「あ゛ぁあ゛あ゛あ゛あ゛あああああああっ……………!!」
 伸びきった腕が容赦なく痛めつけられ、引きちぎられそうな痛みが襲ってきた。痛みで目に涙が浮かんで、ロープがどこにあるのかも分からない。そのまま、気が遠くなりそうな痛みを、実際には短時間だが、その時間が何十倍にも感じるほどに受け続けた。
 そして、しばらくして、嫌な音が響くと、桜崎の腕から力が抜ける。
「……ほら、お嬢様、お待ちかねのロープブレイク……ですよ」
 極めていた零の腕で、ロープに触れた。その腕は、おかしな方向を向いてしまっている。
「あ……うで……っ!!」
 桜崎が体を離すと、改めて、激痛が襲ってくる。
「うぁあああああああああああああっ!!」
 反対の手で、痛めつけられた腕を押さえ、激痛にのたうつ。痛みは激しく、折れたと思った。実際は折れていなくても、腕が動かない事と、絶えず襲ってくる激痛で、冷静な判断力を奪われていた。
「くすくす……」
 桜崎との試合どころではない、ショックで我を忘れていたところで、笑い声が聞こえてくる。
 冷たい水をぶっ掛けられたように、零の体から、熱が引いた。
「っ……はぁっ!!」
 笑いながら腕を壊された。そんな得体の知れない相手に背を向けて、マットに座り込んでいるなんて、不用意すぎる。
 焦りから、動きに冷静さを欠いて、とにかく桜崎を追い払おうと、無事な左腕で裏拳。声が聞こえてきた場所を狙う。
「あら、危ないですね……でもまだ、試合続行の意思があるなんて、流石お嬢様」
 当然と言えば当然だが、零が振り返った時、間合いに桜崎はいなかった。既に距離が開いて、動き出している。
「お嬢様、ドロップキック、参りますっ!!」
 ロープを背負った零の、座ったまま裏拳で攻撃した後の、がら空きの顔に、低空のドロップキック。しっかりと足を揃えた、桜崎の全体重が叩き込まれる。
「んっ………ああっ……!!」
 不意打ちの一撃に、口の中は切れて血が溢れる。
「さあ、試合を続けましょうか……まだまだ、これからですものね、お嬢様……」
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