261 :ジャニスvsみぎり(1):2009/03/06(金) 22:14:47
『ゴォッ…………!!』

低く身をかがめたその頭上を、風を切るというには強すぎる圧力を伴った巨大な『少女』の掌が通り過ぎてゆく。
しゃがみこんだその体勢をそのまま身体のタメとし、ジャニス・クレアは目の前の可憐な大女目掛けて勢いよく左足を突き上げた。
切れ味鋭いトラースキックは惜しくも大女の顎には届かなかったが、それでも胸元を綺麗に打ち抜いた。
しかし、これ以上ない直撃の手応えとは裏腹に、その打撃は大女の上体を揺らすのが精々であった。
ジャニスは歯噛みし、思わず悪態をついた。

「…………この、モンスターめ……………!!」




その来訪は突然だった。
アメリカのGWA本部ジム。団体の創設者であり、エースでもあるローズ・ヒューイットとその付き人であるファントムローズ1号・2号は日本のある中堅団体の呼びかけに応じ遠征、留守をジャニスら一線級のレスラーたちに預けていた。
残されたジャニスたちはジムで練習やスパーに励みながら、エースの帰還を待っていた。
そんな折、彼女がやってきた。
プロレスラーというよりはバレーボールの選手といったほうが正しい長躯(ある意味これは間違ってはいなかったのだが)に、服の上からでもはっきりとわかる厚みのある筋肉。その凶悪なボディの上に、あどけなさを残した可愛らしい顔がちょこんと乗っかる様が妙なおかしみを醸し出していた。
大空みぎりと名乗ったその少女(?)は、自分がプロレスラーであり海外武者修行中であること、その修行というのが道場破りであること、GWAのエースであるローズ・ヒューイットを潰しにきたことをのほほんとした口調で語った。
とんでもないことを平然と口にするみぎりにあっけに取られつつ、とりあえずローズは留守だというを伝えると、みぎりは少し困った顔で何ごとか考え込むと、不意に顔をあげて微笑みつつ言った。

「手ぶらで帰るのもなんですし〜、暇潰しに付き合って頂けますか〜?皆さんまとめてかかってきて下さい〜♪」

惨劇の幕が開いた。

その体格だけで強いとわかる闖入者に対して、誰一人として退くところはなかったのは流石一流団体の一流レスラーたちというべきか。
もとより道場破り、しかもエースを堂々と狙ってきた相手をただで帰そうとは誰も思わない。
この身の程知らずに、GWAというものをたっぷり味わってもらおうじゃないか。

そして……。

262 :ジャニスvsみぎり(2):2009/03/06(金) 22:16:06

「参ったわ……ローズさんには見せられないな、こりゃ」

そう独りごちると、ジャニスは後ろのコーナーをちらりと一瞥した。コーナーには、2人の先輩レスラーが折り重なるようにして倒れている。
ジョディ・ビートンとバニー・ボンバー。れっきとしたGWAのレギュラーが揃って無惨な姿を晒しているのだ。
全てみぎりの仕業である。
まずは、いの一番に突っかかっていったジョディを無造作に上から殴りつけて尻餅をつかせると、無防備な顔面にサッカーボールキックを叩き込みコーナーまで蹴り飛ばした。
コーナーに座り込み、鼻血をボタボタと落とし動かなくなったジョディを見て、いつもは笑顔を絶やさないバニーが憤怒の形相でみぎりの前に立った……が、程なくして彼女もまた動かなくなっていた。
バニーの優れたテクニックも、みぎりの圧倒的フィジカルの前には無に等しかった。
グラウンドに持ち込もうにも、まずダウンが取れない。みぎりのバランスを崩せるほどの打撃もなく、かといって組み合いで勝てるはずもない。打つ手がなくなったところでつかまり、散々振り回された挙句のど輪落としで意識を断たれ、ジョディの倒れるコーナーに投げ捨てられた。
残るは、ジャニスとジーナ・デュラムの二人。だが、気弱なジーナは目前の惨劇にすっかり怯え、ジムの隅で小さくなって震えている。
GWAの威信は、ジャニスの双肩にかかることになった。




キックを受けた胸元をさすりながら、間延びした口調で話しかけるみぎり。

「ん〜、痛いです〜。結構強いんですね〜。でも、私も頑丈さには自信があるんですよ〜」

「そりゃどうも。……貴方が言うと、何か嫌みに聞こえるけどね」

「いえいえ、本当にびっくりです〜。ローズさん以外にも強い人がいらっしゃったんですね〜」

「クッ……なめたセリフを…………!」

ジャニスはみぎりの言葉に苛立ちを覚えながら、しかし内心ではその言い草に納得もしていた。
スピードに勝る自分の攻撃を何度も受け、それでもまるで効いた素振りを見せない馬鹿げたタフネス。
適当に振り回すだけの打撃が、ガード越しでも効いてしまう異常なパワー。
そして、連戦をこなしても息が上がらない抜群のスタミナ。
荒削りでぎこちない動きながらジョディとバニーを連破したのは稀なる素質の証明である。
生まれながら、強い。その無礼な物言いが許されてしまうほどに。

263 :ジャニスvsみぎり(3):2009/03/06(金) 22:17:21
「ハァッ!!」

高い跳躍力を生かしたドロップキックが、みぎりの顔面をしたたかにとらえる。みぎりはすこし嫌がるような表情を見せるが、効いた風ではない。空中で着地の体勢をとるジャニスに、そのまま張り手を叩き付ける。
すんでのところでガードしたジャニスだったが、体勢を大きく崩されて受身を取れずにマットに倒れこむ。転倒したジャニス目掛けて、みぎりの巨大な足が落とされる。
ジャニスはこれも身体を捻って回避すると、そのまま間合いを取って立ち上がり、助走をつけてジャンピングエルボー!

『ガキッ!!』

クリーンヒットを告げる鋭い音がジム内に鳴り響く。速度もタイミングも申し分ない一撃が、みぎりの顎をとらえた音。
しかし、当のみぎりは少し首をかしげたぐらいで、何事もなかったかのように悠然とジャニスを見下ろしたままだ。

「…………何故なの……何故、効かないの…………!?」

「だから言ったじゃないですか〜、私、頑丈さには自信があるって〜♪」

「だからって、こんな……悪い夢でも見てるみたい……」

ジャニスにとってみればまさに悪夢であった。ヒットさせた手数では、圧倒的にこちらのほうが上回っている。クリーンヒットだって数限りがない。
なのにみぎりの動きは一向に衰えず、逆にみぎりの荒っぽい攻撃は一発でこちらの体力を大きく削ってゆく。
気がつけば、自分の息が上がっている。持ちこたえるのも、そろそろ限界だ。どうにかして逆転の一手を打たなければならない。
このままでは負ける……!

「え〜と、そろそろ終わりにしますね〜。もう十分暇は潰せましたし〜、これだけやれば社長も納得してくれます〜」

「ッ…………!?」

みぎりはそう言うと、両手を組んで大きく振り上げる。そして思い切り振り下ろすハンマーブローがジャニスを上から叩き潰す!

「グァッッッ!?」

強烈な圧力に、思わず片膝を着くジャニス。
みぎりは腰を落としたジャニスの首を抱え上げると無理矢理立たせ、その腹に膝を突き上げる。

「ごッ……おうぅぅぅ、げぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ……!」

身体が浮き上がるほどのニーリフトに深々と内臓を抉られ、激痛と嘔吐感に襲われるジャニス。そのまま腹を押さえてうずくまり、激しくえづく。

「さあ、次でフィニッシュですよ〜。歯を食いしばってくださいね〜♪」

そういうと、みぎりはうずくまったままのジャニスを再び引き起こそうと、その手を伸ばす。そのままの体勢で、腰を落とすことなく。
そして、その手がジャニスの頭に触れ……。

264 :ジャニスvsみぎり(4):2009/03/06(金) 22:18:28
『ズダァァァン!!』

「…………えっ!?」

次の瞬間、みぎりはライトの煌々とした天井を見上げていた。
何ごとかと目を丸くしながらもとにかく立ち上がろうと四つんばいになる。
しかしみぎりが立ち上がるよりも早く、ジャニスが上からがぶるように捕らえる。

「ありがとう……自分から隙を見せてくれて……!」

痛みと吐き気の渦の中にあっても、ジャニスは諦めることなくみぎりの隙をうかがっていた。
みぎりの重心が崩れれば、そこから突き崩すことが出来る。フィニッシュホールドを決めるために近づいてくるはずだ。
案の定、みぎりはジャニスを捕らえようと腰高のまま掴みかかってきた。警戒心もまるでない。
チャンス到来。ジャニスはみぎりに掴まれる直前に、身体を跳ね上げてヘッドシザーズホイップでみぎりを転がすことに成功したのだ。

「貴方は強いわ。本当に強い。でもね、私は負けられないの。……GWAは、絶対に負けないっ!!」

大声でそう叫ぶと、みぎりの巨体を満身の力を込めて持ち上げ、パワーボムの体勢に入る。そしてそこから更にパワーをフル稼働させて高々と持ち上げ、一気に振り下ろす!

『ズドォォォォォン!!』

轟音と共に、ジャニスの必殺技・スプラッシュマウンテンがリングのど真ん中に炸裂する。
虚ろな目で宙を見上げるみぎり。しかし、再びみぎりを持ち上げていくジャニス。
相手はモンスター。一撃でKOできるとは思っていない。とどめを刺せるときに刺さなくては、いかなる逆襲に遭うかわからない。

「これで決めるわ! この一撃に、私の全てをかける!!…………イヤァァァァァァァァァッッッ!!」

轟音。
初弾より速度も角度も強烈な渾身のスプラッシュマウンテンがみぎりの身体を叩き潰す。
縦方向に潰されたみぎりの身体は、しばらくリングに突き刺さった格好を保っていたが、やがてその四肢を投げ出すように倒れ込んだ。
 
「……やった…………勝った、勝ったわ!!」

まるでベルトを奪取したかのように、全身で喜びを爆発させるジャニス。エース不在にあってもとてつもない襲来者を撃退できたという達成感、団体の看板を守り抜くことができた安堵感。身体を突き上げる歓喜を分かち合おうと、ジャニスはジーナのほうに向き直った。

265 :ジャニスvsみぎり(5):2009/03/06(金) 22:19:38
絶望に満ちたジーナの顔がそこにあった。
小さく震えながら、ジャニスの後ろのほうを指差している。
まさか……ありえないことだと思いながら、後ろを振り返るジャニス。
直後、なにか大きなもので視界を塞がれた。こめかみが刺すように痛い。
それがみぎりの掌だと理解するのに、そう時間はかからなかった。

「非道い、ですよぉ……なにもあそこまですること、ないじゃないですか〜……」

「ぐぅっ、くっ、くあああああああぁあぁぁぁぁ………!」

ジャニスの頭蓋骨を締め付けながら、あくまでものんびりした口調を崩さないみぎり。しかし。

「私、暇つぶししたかっただけなんですよ〜? それなのに、どうしてですか〜? なんで、本気で潰そうとするんですか〜?」

その声色は、明らかに先程までとは違う響きを帯びていた。
はっきりとした、殺意の響き。

「私、決めました〜。……潰しちゃいますね〜」

ぞっとするような冷たい声でそう呟くと、ジャニスを片手で振り回すとコーナーに叩きつけた。
そして助走をつけ、ジャニスの喉もとめがけて腕を放り投げた。
不恰好で荒々しいラリアットが、上から被さるようにしてジャニスの喉をぶち抜く。

「げはぁぅっっ! がっはああああぁぁぁぁっっっ!!」

物凄い圧力を全て喉に叩き込まれ、もんどりうってリングに倒れこむジャニス。
咳き込みながら身をよじり、苦悶の表情を浮かべる。

「うっ……げほげほッ、ごほっ………!?」

気がつくと、みぎりの姿が見えない。少し身を起こし、リングを見渡そうとするジャニス。
不意に、辺りが暗くなったように感じた。天井の明かりが遮られ、自分の身体に暗い影を落としている。影の正体は……言うまでもなかった。
みぎりが降ってくる。あまりの事態に身動きが取れない。
受けの姿勢を取ることも忘れ、ジャニスは己の無防備な首をそのまま断頭台に差し出した。
みぎりの足がギロチンとなって、ジャニスの喉に振り下ろされる。

「げほぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!」

みぎりの全体重が高所から喉もと一点に叩きつけられる。単純だが凶悪この上ない一撃をまともに受けたジャニス。

「がっっ…がふぅ、げほッ…………ごばぁぁぁぁぁっ!!」

喉越しに延髄ごと叩き切られ、一瞬にして意識を断たれると、そのまま激しく咳き込み絶え間なく血霧を噴き上げる。
全身を激しく痙攣させ、戦う力を失ったジャニスを、それでもみぎりは許すつもりはないようだった。

266 :ジャニスvsみぎり(6):2009/03/06(金) 22:20:59
「このくらいで気絶なんてしないでください〜。とっておきで潰すって、決めてるんですから〜。……えいっ!」

ガクガクと震えるジャニスをうつぶせにひっくり返すと、右脚を取り背中にどっかりと腰を下ろす。
そのまま右脚を抱え、思い切り逆片エビ固めで絞り上げる。
基本の痛め技だが、みぎりの怪力で行えば殺人技になりうる。ジャニスの背骨から右脚にかけてのラインが、巻物のように丸まっていく。
人間の稼動範囲を超えた角度に曲がった身体が、激痛を発信しジャニスの意識を無理矢理呼び覚ます。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

ひび割れた絶叫がジャニスの潰れた喉からほとばしる。
背骨が、右脚がミシミシと音を立てて軋む。絶え間なく送られてくる痛み。
それだけではない。みぎりの体重が肺を押し潰し、呼吸もままならない。脳への酸素の供給が断たれ、薄れていく意識を激痛が掻き回す。

「あ゛……あ゛……え゛げ………げぇ……」

血混じりの泡を噴き、細かくまぶたを震わせ小さく呻くばかりのジャニス。
頭の中が明滅し、ついに身体が失神を選択しようとした次の瞬間、

『ボキンッ!!』

「あっ…………………ぎゃああああああああああああああ!!?」

鈍い音が響く。ジャニスの右脚の膝下からが本来とは違う方向にひん曲がっていた。
みぎりはそれをみると悠然と微笑み、ジャニスの背から降りた。
解放されたジャニスの肺に空気が送り込まれ、酸素の供給が復活する。薄れていた意識が覚醒し、骨折の激痛が怒涛のように襲い掛かる。

「あぎゃああ゛ああ゛あ゛あ゛ああああ゛ぁぁぁぁっ!! いぃぃい゛だ、いだああああ゛ぁぁあ゛ぁ!!」

気がふれてしまいそうなほどの痛みに七転八倒し狂乱状態に陥ったジャニス。みぎりは暴れるジャニスをむんずと捕まえると、そのまま高く抱え上げた。

267 :ジャニスvsみぎり(7):2009/03/06(金) 22:22:14
「さあ、いいですか〜? これがとっておきですよ〜。聞こえてますか〜?」

「ひ……ひッ……ひクッ……ぎひっ…………」

ジャニスに呼びかけるが、最早まともな返事は返ってこない。

「まあ、いいです〜。それじゃあ、勝手にとどめを刺させてもらいますね〜。……だいじょうぶですよ、どうせ人間一度は」

ひとつ嘆息すると、みぎりはジャニスの身体をひときわ高々と持ち上げて

「……死 ぬ ん で す か ら 〜 ♪」

一切の加減なしにリングに叩きつけた。

『ドッパアアアァァァァァン!!』

鈍い音と破裂音が入り混じったような、爆発音に近い轟音がジムの外にまで響き渡る。
爆心地のど真ん中に、ジャニスは『あった』。
激突の衝撃でひっくり返った目玉。四方バラバラに投げ出された手足。特におかしな方向に折れ曲がった右脚。
半開きの口からは最早呻き声も漏れず、ただ涎が流れ落ちるまま。
ピクリとも動かないそれは、生きているのか、死んでいるのか、遠目からでは判別できないほどの惨状であった。

哀れな犠牲者に一瞥をくれると、みぎりは満足そうな顔でリングを下り、ジムの隅で言葉を失っているジーナの方へ歩いていくとにっこりと笑いかけ、

「お邪魔いたしました〜。ローズさんに、よろしくお伝えください〜」

そう一礼すると、みぎりはジーナの横を通り過ぎ、そのままジムを後にした。
しかし、ジーナがそれを認識できていたかどうか。……ジーナの目は、地獄の釜の底と化したジムをただ呆然と見つめるだけだったのだから。
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