376 :オリゼー:2009/03/25(水) 21:36:44
1.
「20分は持たせろと試合前あれほど言ったのに・・・あのバカが・・・」

 試合の行われていたリング上、ボロ雑巾と化したマイティ祐希子の片足を掴んでいる大空みぎりを見て不機嫌極まりない表情を浮かべた社長がそう呟く。
 何故社長が不機嫌な表情を浮かべているか、だが。一言で言ってしまえば『賭け』である。
 もとよりこの団体、大手を振るって表舞台に立とうなんて気はさらさら無いのだろう。アンダーグラウンドで、しかるべき報酬を受け、しかるべき利益を得る。その利益の中で一番の収入が『賭博』だ。賭けの内容は至極単純。どちらが何分で勝つか。ただそれだけである。
 そんな賭け試合だが、回数をこなすにつれ団体に大金を落としてくれる 『お得意様』 と、呼ばれる者もでてくる中。その 『お得意様』 のため、勝敗や試合時間を操作する事も少なくは無い。
 そして、リングの上では 『お得意様』 の為、調整するはずだった試合時間は守られず、大空みぎりが早々に試合を決めてしまったのだから、社長の不機嫌極まりない表情も納得がいく。

「頑張ってくださいよぉ〜・・・もう少し頑張って貰わないと、私が怒られてしまいます〜」

 リング上では大空みぎりが社長のその不機嫌極まり無い表情を見たのだろうか、怯えるかのように瞳を潤ませたかと思えば、子供が癇癪を起こしぬいぐるみを地面へ叩きつけるかの如くマイティ祐希子の片足を掴んだまま振り上げては、ぶっきらぼうにリングへと叩きつけはじめた。

377 :オリゼー:2009/03/25(水) 21:37:45
2.
「え゜べ・・・ご・・・ぼ・・・ッ・・・ぶぇ゜・・・ぅ゜ッ」

 リングに叩きつけられる度に、微かに残る意識の中でマイティ祐希子の口から音が漏れる。それはもう言葉と表現するには値しない。そう、まさに音である。
 四肢に力が入らず、既に闘える状態にないマイティ祐希子の体がみぎりの怪力で弄ばされ壊されていく、試合は一方的な展開で続いているかのように見えるが、実際は既に試合終了のゴングは鳴っており、賭けの結果も出てしまっている。
 けれども、大空みぎりは攻撃の手を止める事は無かった。社長に見限られたく無い一心なのだろう。

「大きな団体のエースさんだって聞いていたのに〜・・・酷いですよ〜・・・こんなに簡単に動かなくなるなんて〜」

 そう言って大空みぎりが片足を掴んだまま一際大きくマイティ祐希子の体を振り上げ、オーバースローでコーナーのターンバックルへマイティ祐希子をいとも簡単に投げ付けて見せる。
 ようやくみぎりの手から開放されたマイティ祐希子はターンバックルに抱きつくような形でコーナーへと収まると、大空みぎりの怪力を持って何度もリングへ叩き付けられた結果、崩れた粘土細工のように酷く変形した顔を晒し 「へ・・・げっ・・・ぇ゜・・・・ぇ゜ッ・・・」 と、やはり言葉にもならない音と共に口から垂れる泡状の涎でターンバックルを汚した。

「まだまだ、みぎりには教育が必要のようだな・・・それにしてもマイティ祐希子・・・所詮は表舞台のレスラーって事か・・・殴り込みに来るくらいだから期待したのだがね」

「Президент(社長)」

 制御のきかないみぎりに対し失笑を漏らした社長の後ろから、ロシア語で話かけてきた女性が一人。
 社長が振り返るとそこにいたのはナスターシャ・ハン。彼女は黒服に身を包み、まるで社長のSPのような振る舞いを見せながら言葉を続ける。

「Как для ее общаться?(彼女の処分は?)」

 そう言ってハンはリング上で無様な姿を晒すマイティ祐希子に対し嫌悪感を隠さず、まるで汚物でも見るかのような視線を差し向ける。

「Пожалуйста возвращение courteously(丁重に送り返してさしあげろ)」

 それに対し社長はマイティ祐希子が期待外れに終った事で、既に興味は無い。と、言うべくフンっと鼻で笑い捨て答える。

「Да(了解)」

 ハンは短い返事をすると背後の観客へと溶け込む様に姿を消した。

―――
――


378 :オリゼー:2009/03/25(水) 21:38:51
ラスト.
 数日後。
 マイティ祐希子の所属する団体に、宅配会社の制服に身を包み帽子を深めに被り表情を窺わせない金髪の女性が、荷台に少し大きめの箱を乗せ現れた。

「ドモ、アリガト」

 女性は受け渡しのサインを貰うと片言の日本語でそういって荷物を置いて去っていく。残されたのは荷台と少し大きめな箱だ。
 その荷は社長室へと運ばれ、箱を前に団体の社長がいぶかしげに眉を吊り上げ箱を見る。

ゴトッ―――

 目の前の箱から発せられた音。それはしっかり社長の耳に入ってきた。
 社長が箱に近づきゆっくりと蓋を開いたその瞬間。社長の嗅覚が不快なものに襲われる。
 
―――それは異臭。

 箱の中を見る余裕すら無く、そこから逃げるように社長室の窓を全開にして、窓の外へ向かい何度もえづく社長の耳に新たな音が飛び込んできた。

「ん゜・・・ん゜ー・・・ん゜ー・・・ッ」

 うめき声にも似たその音が、はっきりと箱の中から聞こえてくれば、社長は臭いに顔をゆがめながら恐る恐る再度箱を覗き込むと、そこには変わり果てたマイティ祐希子の姿があった。
 少し大きめとは言っても人一人が到底入れる大きさでは無い箱に、おおよそ絶命を免れるほどの負傷を負わされ、四肢に存在しうる関節を全て外されその箱に折りたたまれる様にしてマイティ祐希子が試合着のまま収まっていた。
 口元にはガムテープが幾重にも貼られ喋ることも許されず、瞳は半分ほど裏返りを見せる。
 その姿と、箱から漂うマイティ祐希子の汗と血と排泄物の混じった不快な臭いに社長は胃袋から逆流する吐瀉物を我慢できなかった。
動画 アダルト動画 ライブチャット