5 :名無しさん:2009/01/27(火) 04:32:21

『アテナクライマックス最強タッグトーナメント!! 世界最強のタッグを決める夢の決戦は、一回戦第一試合から優勝候補同士の白熱の闘いが繰り広げられています! まさに一進一退。勝つのは日本が誇るゴールデンペアか?! それともアメリカが生んだモンスターコンビか?!』

 リング中央では必殺のラリアット・・・通称ダークスターハンマーをかいくぐった美貌の女戦士が勢いを利したフロントスープレックスで、黒マスクの巨体を鮮やかに投げ捨てていた。体格差をものともしない躍動感。一見非力に映る桃髪の美女レスラーは、倍近い体躯のマスクウーマンより先にすくっと立ち上がる。
 
『あ〜っとここでマイティ祐希子、追撃のローリングソバットがダークスターカオスにヒット! ここにきて祐希子がノッテきましたね?!』

『開始早々からのカオスとメガライトの猛攻を凌ぎましたからね。15分を過ぎて徐々にゴールデンペアのペースになってきました』

『さすが、先月のアテナクライマックスで優勝し世界最強の座をもぎ取ったマイティ祐希子、乗りに乗ってますね! 下馬評では不利の予想が多かった今大会ですが、ボンバー来島との熟練のコンビプレイでタッグでも最強の称号を手に入れるのか?!』

『ただここまでローンバトルが長いのが気になりますね。無尽蔵のスタミナを誇る祐希子といえど、さすがに疲れの色が…あッ、勝負に出ますよ!』

 コーナーポストから描かれた鮮やかな虹の架け橋。必殺のムーンサルトプレスが加速度をつけてカオスの巨体に叩き込まれる。
 
『あーっと、ここでメガライトがカット! 惜しい、3カウント目前でした! 来島のカットがもう少し早ければ…あッ、祐希子のニールキック炸裂ッ! メガライトが場外へ落下するッ! これはゴールデン・ペア最大のチャンス到来だァッ!!』

「ああんッ! もうちょいだったのにィ! 恵理ッ、メガライト抑えて! ここで一気にキメちゃうんだからッ!」

「・・・たいしたもんだな」

「えッ?! なによォ、どーしたのよッ、ボーッと突っ立っちゃって?! 今日の恵理、なんかおかしいよッ?!」

「こいつら相手にほとんどひとりで闘えるとは。まさに最強女帝の名に相応しいな。ゴールデンペアって言ってもオレはオマケみたいなもんだ」

「なにつまんないこと言ってんのよォ! ほら、さっさと終わらせてごはん食べにいこッ! 今日は恵理の好きなもつ鍋でいいよ!」

 スタミナの切れたカオスを引き摺り起こす祐希子。その脚がガクガクと震える。15分間ほとんどひとりで闘い続けた代償は確実にしなやかな肢体にも襲い掛かっていた。この勝機を逃してはならない。勝負師の直感が台詞とは裏腹の焦りを美戦士に芽生えさせていた。
 無言の来島が場外へすべり降りる。メガライトを抑えにいったのか? だがすぐにリング上に戻ってきたパワーファイターの右手には観客から奪ったパイプ椅子が握られていた。
 
「?? ・・・どういうつもりよッ?? あたしたちには…そんなもん、必要ないでしょッ!」

 吐き捨てる言葉とともに一閃。弧を描くバックドロップ。あらゆるレスラーを怪力で恐怖のどん底に叩き落してきた暗黒の仮面がマットに沈む。場外のメガライトはいまだ昏倒したまま。勝利の予感が桃色のロングストレートを通り過ぎる。
 抜群の身体能力を秘めた肉体は、一息にコーナーポストを駆け上がっていた。
 ターコイズグリーンのコスチュームが跳ねる。ポスト最上段へ。発射準備完了。決着の月面宙返り弾が、リング上に優雅な曲線を描いて放たれる・・・
 はずであった。

6 :名無しさん:2009/01/27(火) 04:33:31
 
「オレには必要なんだ。お前を蹴落とすためにはな」

 冷たい来島の声は、背後から囁かれた。
 全てに気付いたのは、刹那のこと―――
 
“恵理ッッ・・・・・・裏切・・・られた・・・・・・?!!”

 バッキャアアアァァァッッッ!!!
 
 後頭部。不意打ち。パイプ椅子の痛打。
 底の抜けた椅子が飛び、衝撃音が会場中に響き渡る。
 半分意識を吹き飛ばされた桃髪の美戦士が、ヒクついた肢体を無惨にポスト最上段から落下させる。
 
「えあ゛ッッ・・・があッ・・・・・・え、恵理ッッ・・・・・・??・・・」

「気付いたんだ」

 後頭部を押さえもんどり打つ祐希子の咽喉に、全体重を鋭角な肘に乗せた来島のエルボードロップが抉り刺さる。
 
「げはああァッッ!!」

「オレは最強を目指すためにレスラーになったことをな。サポート役に徹するためじゃない。オレ自身が輝くためには祐希子、お前こそがもっとも倒さなきゃいけない相手なんだ!」

 完全に動きの止まった祐希子の長いストレートを鷲掴み、無理矢理に引き摺り起こす来島。よもやの仲間割れ、完璧と謳われた黄金ペアの決別シーンに騒然とする場内。疲労と混濁した意識のせいで足元の定まらない祐希子を、先程までパートナーだったパワーファイターは羽交い絞めで拘束する。
 
「エースとして、トップとして君臨するお前を横で眺めるしかないオレの気持ちがわかるか、祐希子? 試合のコールも入場も全てお前が後。最強女王のお前とそのパートナーでしかないオレ。闘うことすら許されない、オレの気持ちがわかるか! この大舞台でオレはお前を越えるッ!」

「え、えり・・・・・・待って・・・・・・あ、あたしは・・・・・・」

「オマエハヤリスギタノダ、マイティユキコ」

 親友の裏切りに動揺する祐希子に、更なる衝撃を与えるべくゆらりと黒い影が立ち上がる。
 ダークスターカオス。息を吹き返した暗黒王。
 ひと回り、いやふた回りは巨大な怪物が、囚われた桃髪の戦士を氷の視線で見下ろす。
 
「チッポケナ島国ノレスラーガ王者ニナルナド許サレヌ。マシテ、シングルノミナラズタッグマデナド…貴様ハ我ラノ逆鱗ニ触レタ」

「さ、さては…お前たちが恵理にッッ!!」

「罪ヲ償エ、ユキコ。コノリングデ醜態ヲ晒シテナ」

 フットボーラーばりのショルダータックルが無防備な祐希子の鳩尾に突き刺さる。
 捕らえた来島もろとも吹き飛ばす衝撃。もろに浴びた美戦士の口からくぐもった呻きがこぼれる。
 
「イイ音ガシタナ。アバラヲヤッタカ」

 苦しみに歪む愛らしい顔を眺めながら、カオスが底の抜けたパイプ椅子を拾う。
 フルスイングされたパイプが、祐希子の痛めた右脇腹にえげつない角度で叩き込まれた。
 
 ベギイイイッッッ・・・・・・!!
 
「ぐあああッッ?! アアアッッ――ッッ!!」

「そら、地獄に堕ちな!」

 叫ぶ祐希子を突き飛ばす来島。
 フラフラとよろめく美戦士を待っていたのは、ダークスターカオスの鋼鉄の巨腕であった。
 ガスンッッ!! という鈍い音。白い首を襲う衝撃。祐希子の肢体が首を支点に一回転宙を舞う。
 カオス必殺のダークスターハンマーの直撃を受け、長髪を振り乱した美女レスラーが頭から真っ逆さまにマットに墜落する。
 決まった。
 決着は、ついた。体力を枯らし、裏切りの罠に嵌った祐希子に世界を震撼させる魔王の切り札を返せるわけがない。
 だが本場米国のプライドを傷つけた日本の小さなエースへの報復劇はこの程度で終わりはしない。

7 :名無しさん:2009/01/27(火) 04:34:52
 
「まだまだ! 今度はオレの番だ」

 自力では立てない祐希子の身体をカオスの怪力が強引に立たせる。再び羽交い絞めにされた祐希子に、今度は来島の必殺技ナパームラリアットが火を噴く勢いで叩き込まれる。
 
「ゴフウッッ!!・・・・・・あッ・・・えあ゛ッ・・・・・・アアア・・・・・・」

「モハヤ立ツコトモママナラヌカ。ナラバ」

 並みのレスラーなら一撃で決着がつく必殺技を二度続けて、それも衝撃を逃がせられない体勢で受けた祐希子に反撃の力など残っているはずもなかった。
 白目を剥きヒクヒクと痙攣する哀れな女戦士の腰にカオスの巨腕が回る。
 全身の力が抜けた祐希子の背骨と脇腹を、力任せのベアハッグが強烈に締め上げる。
 
「うああアッッ?!! グアアアアッッ〜〜ッッ!!! はッ、はなしィッッ・・・てえエェェッッ――ッッ!!」

「フハハハ! ミシミシトアバラガ泣イテオル。骨ノ折レルイイ音ダ!」

 ピキッ・・・メキメキ・・・ミシ・・・・・・
 軋む肋骨の激痛に絶叫する祐希子の肩を、がっちりと掴んだ来島がさらに後方に反り折らせていく。
 
「ガアアアッッ―――ッッ!!! やッ、やめええェェッ〜〜ッッ!!」

「おっと、オレ様の分も残しておけよ」

 悶絶する祐希子の脳に、更なる絶望を注ぐダミ声が場外から掛けられる。
 ジェナ・メガライト。スープレックスモンスターの異名を取る、カオスと遜色ない化け物。
 一時は祐希子の空中弾によって戦闘不能に追いやられた怪物が、じっくりと体力を回復して復讐の牙を剥き出しにしていく。
 
「よくもこのオレ様を・・・壊してやる! バラバラのスクラップにしてやるぞ!」

 狂気のような憎悪が背後から叩きつけられる。それでも今の祐希子は闘うどころか逃げることすらままならない状態であった。
 メガライトの両腕が背中から引き締まった細腰に回る。
 前と後ろ。二匹の怪物によるベアハッグの圧搾処刑。
 背骨と肋骨。潰される内臓。複数の箇所から一斉に沸きあがる電撃のような激痛に、神経を遮断された祐希子はただこの拷問を甘受して泣き叫ぶことしかできない。
 
「ぐああアアアッッッ・・・・・・あぐうううッッ――ッッッ!!!」

「ワハハハハ、真っ二ツニナルカ、ユキコヨ?」

「おらあ、ミンチになりな! お前はもう終わりなんだよ!」

「へげええッッ!! がぶうッ!! い、息がアァァッッ・・・ア、アバラァ・・・わ、私・・・潰され・・・ちゃうう・・・」

 ゴキイイッッ!! ベキベキベキッッ!!
 
「かはァううッッ!!」

 肋骨の砕ける残酷な音色が響いた瞬間、カオスの腕が祐希子の腰を離れる。
 高く、速く、鋭い――メガライトの高速ジャーマンスープレックスが、苦痛に麻痺し、満足に受け身の取れない祐希子を投げ捨てる。
 放置された、パイプ椅子の残骸に向けて。
 
 ガッシャアアアンンンッッッ!!!
 
 したたかに後頭部を打ち付けた女戦士の肢体が、大の字でマットの上に転がる。
 ドクドクと頭部から流れ出る鮮血。
 広がった美しい桃色の長髪が、祐希子への手向けの花のようであった。

8 :名無しさん:2009/01/27(火) 04:36:38
 
「はッ、最強の女帝がなんとも無様な格好だなあ、祐希子!」

 勝ち誇る3匹の悪魔が獲物となった女戦士を言葉の通りに踏み躙る。
 愛らしい顔を。豊かなバストを。傷ついた脇腹を。
 グシャグシャと踏み潰され、貪るように蹂躙される祐希子の肢体ができるのは、ただヒクヒクと痙攣を繰り返すことのみであった。
 
「ガハハハ! いいザマだぜ、マイティ祐希子!」

 3人のパワーファイターの中央で、桃色の髪を鷲掴みにされた祐希子がブラブラと四肢を投げ出し宙に吊りあげられる。
 額から落ちる流血が端整なマスクを朱に染めていた。長い睫毛は固く閉じられ、ピンクの唇はパクパクと無意識のうちに開閉している。指の先にすら力は残されていない。もはや祐希子はリンチに捧げられた哀れな生贄でしかなかった。
 本来ならとっくに勝負は決している。だがタッグマッチという試合は、味方を攻撃するという異常事態が発生しているものの、決着は着いていないのだ。モンスターコンビがフォールを取らない限り、祐希子がギブアップを宣言しない限り、この残酷なリンチは終わらないのだ。
 祐希子の強靭な意志を、底知れない根性を怪物コンビは知っていた。
 その我慢強さこそが、祐希子を更なる地獄へと引き摺り降ろす。
 
「ワハハハハ! 何発でこの女の身体が壊れるか、楽しみだぜ!」

 メガライトの怪力で羽交い絞めにされた祐希子の肉体は、完全に空中に浮かんでしまっていた。
 窒息の苦しみにブクブクと白い泡を吐き出す女戦士。その首に、顔に、胸に、肋骨に・・・カオスと来島のラリアットが交互に撃ち込まれていく。
 
“げえッッ・・・げぶううッッ・・・・・・も、もおッ・・・ダ、ダメェ・・・・・・わ、私・・・・・・もう・・・・・”

 永遠にも思われた破壊リンチが30分を越えた頃、ガクーンと全ての力が祐希子の全身から抜け落ちる。
 大きな瞳からすっとこぼれる透明な雫。
 示し合わせたカオスと来島のサンドイッチドロップキックが、なんの抵抗もできぬ脇腹の肋骨を圧搾する。
 
 グシャアアアアッッ!!! ベキボキゴキイイッッ!!!
 
「ゲボオオッッッ――ッッ!!!」

 真っ黒な大量の血を吐き出した瞬間、祐希子の肢体は後方へとブレていた。
 フルネルソンからのスープレックス。メガライトの必殺技ドラゴン・スープレックス。
 鮮やかな桃髪で弧を描いた美しき戦士は、衝撃音とともにマットに突き刺さっていた。
 
 ピクピク・・・ヒクン・・・・・・ビクビクビク・・・・・・
 
「ヨウヤク・・・壊レタカ」

 見開かれた祐希子の瞳を覗き見たカオスが満足そうに肯く。
 虚空をさ迷う視線。死んだように凍えた表情。
 小刻みに震えるしかない祐希子の身体を、カオスはカナディアンバックブリーカーで高々と抱えあげる。天に生贄を差し出すように。
 背中を支点に反り上がる炎の戦士から、メキメキと残酷なハーモニーが響き始める。

9 :名無しさん:2009/01/27(火) 04:37:55
 
「ユキコ、ギブアップカ?」

「・・・・・・・・・ノ・・・ォ・・・・・・」

 かすかに囁く哀れな獲物の言葉に、暗黒仮面の奥の瞳が一瞬驚きに見開かれる。
 この期に及んでまだ意地を張るというのか。だがその驚異的な意地も間もなく途切れよう。
 首を掴んだ来島と両足首を掴んだメガライト。
 3人の怪力で一斉に折り曲げられ、祐希子の背骨がほとんど180度反り上がらんとする。
 
「ギャアアッッ・・・・・・ギィィッ・・・ギブ・・・・・・アッ・・・・・・プ・・・・・・」

 打ち鳴らされるゴングの音色。
 それはタッグトーナメント第一試合の終了とアテナクライマックス王者マイティ祐希子の敗北を知らせる宣告であった。
 
「グワハハハハハ!」

 50分に迫る死闘・・・いや、公開処刑の終了に人々が安堵した、その瞬間。
 敗北者マイティ祐希子の肢体が、3匹の処刑者によって真っ逆さまにマット中央に落とされる。
 
 ドボオオオオオオッッッ!!!
 
 凄まじい勢いで叩きつけられた祐希子の頭部は、首までマットの内部に埋まっていた。
 ピンと爪先まで硬直した女戦士の肉体は、まるで一本の杭であった。
 やがてゆっくりと、真横に開いた両腕がバタリとマットに平行に落ちる。
 逆さまの姿勢でマット中央に突き刺さった敗北者マイティ祐希子の姿は、まるでゴルゴダの丘に逆にした十字架を刺したかのようであった。
 
 
 
 アテナクライマックス最強タッグトーナメント一回戦第一試合
 
 ダークスターカオス○(48分54秒 変形カナディアンバックブリーカー)×マイティ祐希子
 ジェナ・メガライト                         ボンバー来島
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