519 :名無しさん:2009/04/26(日) 18:23:43
需要がないかもしれんが、永沢推しの俺がレポ風味のやつを書いてみた。
>>494の後の時間軸ということでひとつ。

外道社長回想録

団体ミーティングから1時間後。
永沢舞が遠征からようやく帰還した。報告を兼ねて、私の部屋に挨拶にくる。
どこから連れてきたのか、黒の子猫を胸に抱き嬉しそうに頬をすり寄せている。
見慣れた光景とはいえ、よくまあここまで懐かれるものだと感心する。たしか、遠征前は三毛猫とじゃれあっていた。

報告を聞き終えた後、私は永沢に先程のミーティングの内容を告げる。
「…………というわけだ、永沢。昨日の今日で悪いが、お前にも手伝ってもらうぞ」
「……うーん……ちょっと待ってね社長。相談してから決めさせて」
そう言うと、永沢はその腕の中の子猫と鼻がくっつく位顔を近づけて、なにやら話しはじめた。
「うん……うん……そう、明日……どうかな…………うん……うん……やっぱりそう思う?…………そうだよね、うん……わかった」
ブツブツと小声で話し込んでいた永沢だったが、ひとつ大きくうなずくと得心のいったような顔を私に向け、言った。
「決めた、社長! 私も明日の殴りこみ、お手伝いするね」
「そうか、やってくれるか。お前がいれば随分と助かると思っていたんだよ」
「うん! ニャンコちゃんのいうことに間違いはないもんね。頑張るよー、ファイト、ファイト!」
私はホッと一息つくと、明日に向けて十分な休養を取るようにといって、永沢を下がらせた。
……彼女はどうも扱いづらいところがある。私の話はよく聞くし素直なんだが忠誠心は薄いし、少々天然で行動が読みにくい。
何より、普段のファイトスタイルが実に王道的でおよそ『裏』で映えるようなレスラーではないのだ。実際、お得意様から文句を言われたことも少なからずある。
しかしそれでも彼女はわが団体の大事な戦力であり、彼女自身ここでしか生きられないのだ。

……元々、永沢は私の構想には入っていなかった。彼女の入団自体半ばイレギュラー的なものであったのだ。
地下のリングを開設して間もない頃、『裏』向けの人材を集めるために私は東西を奔走していた。
それらしきレスラーに目をつけては片っ端から交渉したものだ。少々強引ではあっただろうが、何、気にしてはいられない。
シャドープリンセスこと神楽紫苑もその中の一人であった。相手の身の危険をまるで考えないラフファイトをこともなげにやってのける冷酷さはまさに私が望んでいたものだった。
交渉は思いのほかスムーズだった。かなり吹っ掛けられたのは事実だが、団体の趣旨は大いに気に入ってくれたようだった。実に性悪そうな薄笑みを浮かべていたのを覚えている。
その神楽の地下デビュー戦の相手として私が選んだのが、当時フリーでくすぶっていた永沢だった。
抜群のバネを生かした飛び技と豪快な投げはすでに高いレベルにあった。しかし、ヘビー級のタイトル戦線に絡むには体力があまりにも乏しく、極度にファンシーさを押し出した言動もあり立ち位置が定まっていなかった。
誰もが認めるスキルを持ちながら、勝ちきるには至らない―――。
そんな彼女を戦う場を用意してあげるとの甘言で釣り、神楽の噛ませ犬に仕立て上げたというわけだ。
『裏』の無法ファイトでは、非道を臆面もなくやりきる胆力と強い体を持ったレスラーが勝つ。そういう意味で、神楽のデビュー戦の相手として永沢は適任のはずだった。

試合は私の予想通りに運んでいった。
最初こそ溌溂とした動きを見せる永沢に神楽が遅れを取っていたものの、組み合いでバランスを崩して見せるとそのまま雪崩れ込むようにSTOを決める。
神楽が永沢に組み合いで勝つところなど、表しか知らない人間には想像もつかないだろう。
手袋の中の仕込み針が答えである。肌を刺す激痛に度を失った相手を、その混乱状態に乗じて引きずり倒すのが神楽のやり方だった。
正直、この段階で神楽の勝ちだと思った。事実、タフネスに問題ありと言う評価の通りSTO一撃で永沢の動きはピタリと止まってしまったわけで、後は神楽の暴力に飲み込まれるだけだろうと……そう思った。

520 :名無しさん:2009/04/26(日) 18:25:43
永沢の変貌は突然だった。
動きが急激に落ちてからというもの、神楽に思うさま投げ飛ばされ、叩き潰されるまま。反撃の機会も与えられず、このまま失神するまでなぶり殺しにされるのだろうと思った。私は試合を眺めながら、神楽をこれからどうやって売り出そうか、そのプランを思い描いていた。
うつ伏せにダウンしているところを神楽に頭を掴まれて引っ張り上げられ、がら空きの顔面を思い切り蹴り上げられる永沢。
鼻血が真っ赤な弧を描き、永沢が上体から仰向けにひっくり返された。
そしてそのまま、神楽の硬いカカトを使ったストンピングに何度も顔面を踏み抜かれる。パッと赤いしぶきが飛び散るのが天覧席からでも確認できた。備え付けのモニターで状況を確認したところ、額がザックリと切れ、血が噴水のように噴き出しているのがわかった。
流血戦か……クラシックだがやはり映えるな。そうだ、ストライカーをそろえるのも面白いな……。
試合の勝敗への興味はとうに薄れ、私は今後の運営に思いをはせていた。
嫌らしい笑みを浮かべたまま踏み付けを繰り返す神楽の表情が変わったのはその直後だった。
永沢が突然蘇生したのである。振り下ろされた脚を受け止めると、そのまま掬うようにして神楽を転倒させ、アンクルホールドに捕らえる。
じっくりと締め上げるなどということはしなかった。瞬間の力で一気に神楽の足首を捻じる。
会場中に神楽の絶叫が響いた。腱が切れたらしい。
立ち上がり額からドクドクと流れ続ける血を手でそっと拭うと、その赤く濡れた手をじっと見つめる永沢。
手をスッと下ろし、足首を押さえてうずくまる神楽に向き直ると、何ごとかブツブツと呟きながら神楽に近づいていく。
これは後でリングサイドにいたスタッフに聞いた話だが、このときの永沢の目は闇夜に光る獣の瞳のそれだったという。
神楽のバックに組み付く永沢。神楽も抵抗するが、片足が使えない状態では焼け石に水というもの。ガッチリとロックすると、そのまま後方に投げを打つ。
まるでヒョウかチーターが乗り移ったかのような、しなやかなバネ。野生の美しささえ感じさせるジャーマンスープレックスが神楽に牙を剥く。
轟音が響き渡るが、しかしそれで終わらない。ロックを外すことなく、2回、3回とジャーマンで神楽の体を叩き潰してゆく。
幾度となく叩きつけられ、神楽はもう戦闘能力を失っているようだった。しかし、永沢が止まる様子は一向になかった。
投げを繰り返しながらコーナーに位置を詰める永沢。ロックを外すことなく、グッタリした神楽の体をコントロールする。そして……。

グァッシャァァァァァァァァァァァァァァン!!

永沢の、この試合何度目かのジャーマンが炸裂した。
神楽の後頭部を、コーナーマットに突き立てて。

神楽がズルリと崩れ落ちた。白目を剥き泡を吹くその仰向けの体は汗でジットリと濡れてテラテラと光っていた。

永沢は、そんな完全に意識を失った神楽に馬乗りになると、鉄槌を振り下ろしていった。
一撃ごとにビクンビクンと体を跳ねさせる神楽。当然意識はない。ただの反射に過ぎない。
しかしそんなことは全く永沢には関係ないようだった。息絶え骸と化すまで終わらせない……そんな風にも見えた。
神楽の両腕が許しを請うように天に向かって差し出される。
やがて、ガツガツという鈍い打撃音がグチャリグチャリという湿った音に変わり、振り上げる永沢の拳が真っ赤に染まってゆく。
しだいに痙攣すらしなくなってゆく神楽。両腕がゆっくりと落ちていき、トサ……とリングに横たわった。
最早神楽が動かないことを見て取ったのか、ようやく永沢が神楽の体から下り、ゆっくりと立ち上がった。
自らの出血と返り血で赤く染まった姿が、白のリングにひときわ鮮烈に浮かび上がっていた。

私はと言えば……永沢の突然の変貌に、私は半ば呆然とリングを見つめていた。
明るく元気で、可愛いもの好きの女の子というイメージからかけ離れたその姿。
狩りに赴くネコ科の猛獣のような獰猛さと冷徹さは、しかし妙にしっくりしていて、そして……美しかった。血にまみれたその姿さえも。

この試合の後、私は永沢と正式に契約を交わした。
神楽を失ったのは痛手だったが、それ以上に素晴らしい逸材を見つけることが出来た喜びが勝っていた。
もっとも、彼女の気まぐれ具合が随分と厄介であることに気がついてはいなかったし、彼女のトリガーを引くような相手を探すのにも苦労することになるとは思っていなかった。
そういえば、『裏』でも本来の永沢の姿を随分と見ていない。
……さて、東女の諸君はどうだろうな。気まぐれな彼女の本性、誰が引きずり出すのか……。
久しぶりに、見てみたい。リングという狩場で躍動する雌豹の姿を。
動画 アダルト動画 ライブチャット