820りょっとも:2009/07/30(木) 20:57:51

1.

日が暮れて暫く経った静かなジムの中。
所属選手やスタッフのほとんどがその日の仕事を終え、次々と帰路に着いた中、
未だたった一人で、黙々とトレーニングに励む者が居た。

息を切らしながら、全身にびっしょりと汗をかきながら、明るい緑色の長いポニーテールを揺らし、
自らの身体をいじめ抜く桜井千里。
すっかりひと気の無くなったジムの隅で、誰とも交わる事無く、掛け声以外の余計な言葉も発さず、ひたすらトレーニングを続ける。

そんな彼女の元へ、ゆっくりと、静かに歩み寄ろうとする者が居た。
静かに、と言っても、何か不意を突こう等という風では無い。むしろ、恐る恐る…と言ったほうが適切だろう。

気配に気付いた桜井が、続けていた激しい運動を止め振り返る。

「…………っ、何でしょう?」

「…えっと、あの…そ、その……………」

振り返ってそこに居た人物を見て、桜井は少し顔をしかめつつ、声をかけた。
しかし相手はどこか少し怯えながら、はっきりとしない態度である。

「っ………。一体、何のご用でしょうか?山本さん。」

トレーニングを遮られながらのその態度にストレスを感じながら、早く面倒を済ませたかった桜井は
相手 ―山本― に、早く用件を述べるよう促す。

山本は、何やら初めから少し話し難そうではあったが、苛立った桜井の空気を前に尚更緊張し、
少し時間がかかりながら恐る恐る口を開く。

「そ…、その……桜井…さんに…っ、謝りたくて………」

「?? …、謝る…?一体何の事でしょう。特に謝罪されるような覚えはありませんが。」

それは本心だった。確かに、桜井の中では山本に何か謝罪を受ける覚えは全く無かった。

「えっ…と……、このあいだの…試合の………」
「あんな酷い目に…、その……あんな…恥ずかしい思いをさせてしまうなんて………っ」
「私も…っ、あそこまでするつもりは無かったんです…っ。本当に…ごめん…なさい………っ」

山本が謝罪したのは、数日前の試合の事だった。
2人は数日前の興行でシングルマッチを組まれた。団体でもトップクラスの実力を誇るヒールであるグリズリー山本に、
実力派として将来を期待される桜井が挑む形となった試合。
日々、自身を磨き上げるためストイックにトレーニングに打ち込み、自信を持って望んでいた桜井。
だが試合が始まると、山本の圧倒的なパワーの前に、桜井の小さな体はあっという間に蹂躙され、一矢報いる事さえできないまま、
山本の巨体が様々な手段で桜井を痛め付けるというただただ一方的な試合となってしまったのだった。
大勢の観客が見守る中、情けない試合を見せてしまい、最後にはその大勢が見守るリングの真ん中にだらしなく横たわり、失禁して

しまうという最悪の結末。
同時に桜井のプライドは粉々に砕かれ、全く太刀打ちできなかった悔しさ、醜態を晒してしまった恥ずかしさに襲われた。

821りょっとも:2009/07/30(木) 21:00:43
2.
そのような事もあり、桜井はこの数日間、それまでにも増して厳しく練習に打ち込んでいた。この日も遅くまで居残りしようとしていた

のもその流れだった。

「…………………。」

山本の意を決しての謝罪の言葉に、桜井からの反応は無い。
しばしの沈黙、さすがに耐えかねた山本は恐る恐る、伏せ気味だった顔を上げながら、桜井の表情を伺った。

「…………っ!」

「あっ……」

激しい怒りの表情に満ちた桜井の顔が視界に飛び込んでくる。

「あっ…、あのっ……!本当に…本当にごめんなさい………!!」
「本当に…っ、申し訳ないと思ってるんです……!!」
「あのっ…、桜井さ………」

「山本さん。」

誠意が伝わっていない、そう思ったのか、何か焦りを感じさせる勢いで謝り倒そうとする山本。だが桜井が静かな一言で
それが止まる。

「本気で仰っているのですか?」

「え………?」

山本には予想外の返答だったようで、一瞬どうしていいのかわからなくなる。

「あなた…、本気でそんな事を言っているんですか…っ!?」

「ひっ………」

桜井のただならぬ雰囲気に、たじろいでしまう山本。

「よくわかりました…。あなたはそうやって私を馬鹿にしたいだけ………」

「!! そ、そんな事…私はただ、あやま………」

「私は真剣に試合をしているんです!!あなただってそうだと思っていました…。
 その試合の上での事… 真剣に勝負をした上での事を、どうしてそんな風に………」
「後になって、『あんな事してごめんなさい』? 及ばなかった私を下に見て、馬鹿にしているとしか思えない……!!
 嫌味にしかならない事ぐらい、わからないはず無いでしょう………!!」

怒りを爆発させた桜井の、普段見た事も無いような勢いに、何も返す事ができない山本。
目にじわりと涙を浮かべ、震えた小さな声で、ただただ『ごめんなさい』と繰り返す事しかできなくなっていた。

「……よくわかりました。あなたが、こんなに最低の人だったなんて……………」

「えっ……、そん…な……」

『最低』という言葉が、山本の胸に突き刺さる。
正直、そこまで言われる事となろうとは思いもしなかった。こみ上げる涙の勢いは増し、次々と零れ落ちる。

「最低です…、選手として……いえ、人として………最低…………!
 こんな人と同じ団体で…、いや…こんな人がプロレスをやっているなんて…!!信じられない……!!」

「あ…あ……っ、ぁ…………」

次々に浴びせられた自身を否定する言葉。山本の心は完全に打ちのめされていた。
大粒の涙で既に床が濡れている。その上へガクリと膝を着いて崩れ落ち、伏せた顔を手で覆う。

「わ…わたし………、そんな…ぁ…あ………ぁああぁぁぁぁ………!」

遂には号泣し始めてしまった山本を前に、桜井はハッと我に帰る。
明らかに言い過ぎであった。正直わかっていないわけでは無かった。
嫌味に取れるのは仕方が無いが、山本の謝罪の言葉にそれほどの悪気が無いであろう事もわからない事は無かった。
そして、彼女が悪い人間では無い事も、普段から見ていてわかっていた。

それなのについ、酷い事を言ってしまった原因は、プライドを壊され、自信を失いかけてからのこの数日の、あまりにも強かった
苛立ちだろう。

少し冷静になり、目の前でひざまづき泣きじゃくる山本に、声を掛けようとした。

822名無しさん:2009/07/30(木) 21:03:28
3.
「あの……、山本さ…………」

その時、

「オイオイ、んな言い方する事ぁ無ぇだろうがよォ!」

少し離れた所から、急に大きな声が響いてきた。
その声の主は、少し大きな足音を立て、早い歩きでこちらへ向かってくる。

「なぁ〜んかピーピーうるせぇと思って来てみりゃ、しょーも無ぇ事で騒ぎやがって…」

「おい山本ォ、こんな奴の言う事いちいち気にしてんじゃねぇよ。」

大事な所で間に入られ、また少し不快感を露にする桜井。

「…朝比奈さん。申し訳ありませんが…、あなたには関係の無い事なので………」

また怒ってしまいそうでさえあったが、なんとかその気持ちを抑えて落ち着いた態度を見せようとする。
しかし今はむしろ、怒りに満ちているのは朝比奈のほうであった。

「関係無かねぇんだよ!こっちはダチがひでぇ言われ方されてんだ。
 しかも、随分と理不尽な言われようでなぁ…!」

「テメぇ何様だよ…、テメぇに山本があそこまで言われる筋合いゃ無ぇんだよ…!!」

朝比奈は今にも殴りかかりそうな勢いで、桜井に迫る。
先程までと違い、今度は桜井が、朝比奈の迫力に圧され気味だ。

「ザコがくだらねぇ言いがかり付けてんじゃねぇよ…、悔しかったら勝ってみろや……
 要はてめぇが弱ぇからいけねーんだろうが。
 そんで勝手にボコられて、そんで何文句垂れてやがんだよ…、ぁあ??負け犬がピーピー泣いてっと、ウゼぇんだよ。」

その朝比奈の言い方に、怒りと、悔しさが込み上げる。
さすがに反論もしたくてしょうがなかった。…が、朝比奈の言う事も、間違いでは無かった。
桜井は自分でもそれを感じ、あまり強い態度に出られなかった。

だが…

「ま、口ばっかで勝手に硬派気取ってて、乳とかケツなんかで釣ってるだけの奴じゃ、しょーがねぇわな。」

「っ……………!!」

一気に桜井の顔が険しくなる。
先程の、山本に対して怒りを露にした時どころでは無い。

「まぁせいぜい、スケベな男共にチヤホヤされて喜んでろや。今更無理に気取んなくても良いんじゃねぇか?
 …あー、そうか。ほんとは、大好きな社長にだけチヤホヤされたいんだもんなァ……?くくく………」

その瞬間―――――

パチィィィィン…………………!

乾いた音が響く。
朝比奈の頬には、真っ赤な痕が付いていた。
絶対に手を出す事などあってはならない、だが、桜井は我慢できなかった。
絶対に言われたくない部分を突かれてしまったから。

「!! っ、桜井さん、ダメです……!!」

「て…めぇ………」

朝比奈の表情が歪み、腹の底から響いてくるような声を出しながら、桜井を睨み付ける。
今にも怒りを爆発させ、殴りかかりそうになっている朝比奈と、取り返しの付かない事態を予感し焦りを見せる山本。

だが桜井は完全に理性を失っていた。
朝比奈に言われた事だけは彼女にとってどうしても、本当に許せない事だった。
目を真っ赤に染め、自身より2まわりは大きいであろう朝比奈に掴みかかる。

「桜井さん、やめて下さい!! そんな事…したら……!!」

「あなた…っ、絶対に…許さない……っ!!
 あなたみたいな人に…っ!私そのものを…私のしている事を……そんな風に…言われたくない!!」
「ふざけた態度でプロレスをやっているような、ヒールのあなた達のような人が……私の事を侮辱………」

涙を流しながら、胸倉を掴み顔を見上げ、叫びに近い声で抗議してくる桜井を、朝比奈はドンッと一押しで突き放す。

「テメぇ今…、なんつった………」

823りょっとも:2009/07/30(木) 21:11:35
4.
先程までとは違う、静かで、だが恐ろしい雰囲気。

「あ…朝比奈さん……だめ…ですよ………っ」

朝比奈のその雰囲気に、なだめようとはするものの恐ろしさから止めに行く事もできない山本。
そして、数秒前まで朝比奈に怒りをぶつけていたはずの桜井でさえ、その雰囲気に圧倒されていた。

「今…っ、なんつったあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

瞬間、人間の身体と身体の衝突音とは思えないほどの重い音が大きく響き、
桜井の細い身体は大きく後ろへと飛ばされていた。

「がはっ………………!!」

怒りを爆発させた朝比奈の重い蹴りが、桜井の腹へともろにぶつかっていたのだった。
あまりにも軽々と飛ばされた桜井の身体は、壁と、立てかけてあったパイプ椅子の束に衝突し、
騒がしく金属音を立てながら崩れ落ちるパイプ椅子の群れと共に倒れた。

「っ…!げほっ…げほっ……!っ…、あ…ぁ………っ………!!」

自分の置かれている状況がわからない。
どんな体勢でいるのか、どちらを向いているのかもわからず、目線も定まらない。
口からは胃液が吐き出され、判るのは腹に激痛が走っているという事だけだ。

目がぐるぐると回る中、パニックに陥った山本の声ばかりが聞こえてくる。

何もできない。数秒経って、自分の身体が床の上に横たわっている事だけは判った。
だが、まともに声を発する事も、ましてや立ち上がる事など全くできる気がしない。
たった、一撃で…

苦しみ続ける桜井の横顔に、朝比奈の足が乗せられる。
顔を踏みつけられる屈辱的な状態であろうと、何の抵抗もできない。

「ふざけんじゃねぇよ…… こっちこそ…、てめぇを絶対に許すわけにはいかねぇ…………」

「ぜってぇになぁ……っ!!」

踏みつけていた足を一瞬上に振り上げ、そこからまた凄まじい勢いで振り下ろす。

固い床と大きな足の間に挟まれた桜井の頭。また激しい衝撃音が鳴り響く。傍から見れば、割れてしまうのではないかと思うほどの
衝撃である。

「クソがぁ………っ!!」
「クソ野郎があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

怒り狂った朝比奈の攻撃は、全く止まる様子は無い。
全くの無抵抗の桜井の身体を次々と、激しく踏みつけ、蹴り上げる。
桜井にはもはや、腹を蹴られようと咳き込む間さえ与えられていない。

824りょっとも:2009/07/30(木) 21:20:06
5.
「朝比奈さん…!お願い…!やめて………!!
 このままじゃ…、このままじゃ桜井さんが………!!」

あまりにも壮絶なその状況に、山本もたまらず止めに入る。
だが瞬間、朝比奈に強烈に胸ぐらを掴まれ停止する。

「山本ォ…、てめぇ邪魔する気かぁ……?
 いくらお前でも許さねぇぞ………ぁあ……?」

「ひっ……」

「ごっ…、ごめん……っ…な…さい…………っ」

ただならぬ空気に一瞬にして凍りつく山本。
明らかに、ちょっとした怪我では済まないであろう状況の桜井を目の前に、放っておく事などできるはずも無い。
だが… それでも動けなくなってしまう程に、山本にとって今の朝比奈は恐ろしかった。

「う……ぁ…あ……………っ」

「ぁんだ、まだ喋れるくらい元気だったか、
 んじゃあよく聞け、いや…聞かせろ………」

僅かに苦しみの声を上げる桜井の顔が、再び踏み付けられる。
そして、朝比奈はまた、裂けた服の間から覗く傷と痣まみれになった桜井のお腹を蹴り飛ばしながら……

「バカにしてやがんのはどっちだ、ぁあっ!?」

「ぐぁああっ………!!」

一発。

「侮辱してやがんのは…、判ってねぇのは…、どっちだ……っ!!??」

「ごはっ………!!!!」

二発。

「てめぇ…、調子乗ってんじゃねぇぞ………
 俺達が…どんな思いでやってっと思ってんだ………テメぇはあぁぁぁぁぁ………っ!!!!」

「っ…………………!!!!!!」

三発目。
それまでで一番大きな衝撃が桜井を襲った。

「っ……、っ………げぼっ……がはっ…………!!
 …ぐ……っ、げ…ぇ……ぇ…………っ」

だらしなく力の抜けた桜井の身体。
もはや、目はほとんど白目を剥き、多量の涙が流れ落ち、口からは嘔吐と、それに混じって真っ赤な血が吐き出されていた。
身体中が傷と痣にまみれ、その各所の傷からも少しずつ血が溢れ、辺りの床を汚していた。
そして股の間からは、先日の試合と同じく失禁。だが、それに気付く事さえできないほど、桜井は弱り切っていた。

831りょっとも:2009/07/31(金) 23:59:49

6.
その横たわった桜井の身体の上に、朝比奈が馬乗りになる。
左手で首を掴み、右手を思い切り振り上げ、

「テメぇはぜってーに許さねぇ………
 ……潰してやるよ…………………、今すぐに……なァ………っ!!」

ここでもまた、人の拳と顔が当たった音とは思えないほどの強烈な衝撃音が鳴り響く。
だが、もう弱り切ってしまった桜井には悲鳴を上げる力さえ残っておらず、聴こえるのは繰り返される衝撃音、
延々と泣きじゃくる山本の声と、怒り狂った朝比奈の声や呼吸音だけになっていた。

「クソが………クソがあぁぁぁぁぁ……………っ!!
 ぶっ潰してやんよ……、てめぇがくたばるまでブン殴り続けてやっからなァ………っ!!!!」

繰り返し、休む間も無く、下敷きになった桜井の顔は殴られ続けている。
鼻血が吹き出し辺りへ飛び散っても終わらない。いくら手が血で汚れようと、返り血を浴びようと、朝比奈は手を止めなかった。
一方的な暴力。プロレスとは無縁の、圧倒的な力による暴行が繰り広げられていた。

側に居るはずの山本はもはや、腰を抜かし尻餅を着いたまま、手で顔を覆って大泣きしているのみ。
どうにかしたい気持ちもあるのだろうが、あまりの恐怖と目の前で繰り広げられる光景に、身体が動かせなくなっているようだった。

「ぅ…………ぁ……………………」

「ぁんだ、まだなんか喋れたのか?
 …オラ立てよ、立ってみろや!このザコがぁ…!!」

ひたすら暴行を加えていた手を止めたかと思うと、今度は桜井の長いポニーテールの根っこを掴み、少し頭を引き起こして、
額が当たる位に顔を近づけ罵倒する。

「んなザコのクセして偉そうにしてやがったんだろうが、てめぇはぁ………っ
 もう二度とデカいクチ叩けねぇようにしてやるよ……、まぁ、てめぇが生きてられりゃぁなぁ……!!」

そう言いながら、朝比奈は立ち上がると同時に、掴んだポニーテールを引っ張って桜井の身体をも強引に引き起こす。
見るも無残な姿となった桜井の身体。自立する事は無く、まるでサンドバッグの如く朝比奈の手からだらしなく垂れ下がっている
だけである。

「へへへ…、良い格好じゃねぇか………。よく似合ってんぜ。
 さぁて、こうしてやりゃぁ……どうだ!?」

全くの無防備な桜井の腹に、深々と朝比奈の拳がめり込む。
細いからだがくの字に折れ曲がり、さすがに、悲鳴とは違う僅かな呻き声が上がる。

尚も力の抜けたままぶら下がっているその身体は、慣性に逆らう事も無いまま、まるで生き物の身体では無いかの如く
殴られた衝撃のままゆらゆらと揺れている。

「へへ……他の連中にも使わしてやりてぇなぁ、このサンドバッグはよぉ……………、うらァ!!」

再び強烈なパンチがみぞおちへと刺さる。
更に、朝比奈は間を空ける事無く、何度も、何度も、力を決して緩める事無く腹への殴打を繰り返す。
裂けた服の間から覗く桜井のお腹に、もはや肌色の部分はほとんど見えないようだった。

「どうだ…!?そろそろ………楽になるかっ………!?」

朝比奈は手を止めたかと思うと、それを桜井の首の後ろへと回し、
今度は右足で思い切り床を蹴り、凄まじいスピードで蹴り出された重い膝が、桜井の腹へと突き刺さった。

「っごふ………………っ!!!!」

幾度と無く繰り返された腹へのパンチを遙かに凌ぐ衝撃が襲い、目玉が飛び出しそうになる。
そこから僅かに遅れて、大きく開いた口から、血と胃液と嘔吐物が混じり合いながら吐き出された。
少なからずそれは、目の前に立つ朝比奈にも降りかかる。

「チッ……、汚ったねぇな………………!!」

不快感を露にし、掴んでいた桜井の身体をあまりにも乱暴に投げ捨てる。
再び、パイプ椅子の折り重なった床へと叩きつけられたその身体は、人形か何かと見紛う程の様子で床の上を滑り、転がってから停

止した。

「おーおー、そんなにソレが大好きかぁ??だったら好きなだけ喰らわしてやるよ!!!!」

朝比奈はズンズンと桜井の元へ歩み寄り、散乱したパイプ椅子の一つをおもむろに掴み取り、目の前に横たわる桜井へと投げつける


次々と、多量に散らばったパイプ椅子を拾い上げては、桜井の頭、腕や脚、腹や尻などへ投げつけ、身体中痛めつける。
それだけでは飽き足らず、今度は椅子を手から離す事無く激しく叩きつけ、時に角などを容赦なく突き刺しながら、
暴行を続けた。

832りょっとも:2009/08/01(土) 00:01:44
7.
「オイ、どうだ…?今の気分はよォ………」

しばらく、試合では有り得ないほどの量の凶器攻撃を見舞った後、それに飽きたのか桜井の足首を掴み軽々と持ち上げ、
答えがある筈も無いと判りながら問いかける。

足首を高く持ち上げられ、背中を逸らしながら横顔を床に擦り付ける体勢にされている。
そこへ更に、床に密着した横顔の反対側へ朝比奈の足が載せられ、激しく押さえつけられる。

「何とか言ってみろや……、今までみてぇに、偉そうなクチ利いてみやがれ………、オイ……コラぁ…………」

朝比奈は足に一層力を込め、桜井の顔を踏み躙る。
大きな足と固い床の間に挟まれ、強烈な圧迫と共に擦り付けられる。
余りにも屈辱的なこの状況、だが悔し涙が溢れる事も無い程に涙は枯れ、抵抗も抗議も何もできず、
ただひたすら、やって来る気のしない終わりを願うばかりだった。

「さて、そろそろ……………」

朝比奈が、掴んでいた足首をパッと放す。
急に支えを失った下半身は床へ打ち付けられるが、もはや今の桜井にはどうでも良い程の痛みかもしれない。

「ぁ……れか………た…………す……け…………………っ」

朦朧とした意識と、ぼやけた視界の中。床を垂直に見ながら、何をされてしまうのかと考える。

その時―――――

「おい、さっきから何か騒がしいが、どうした………?」

「しゃ…………ち…ょ……………………」

「!!!! お、おいっ…!お前達…………!!」

扉から一歩中に入ったところで、こちらに気付いて驚愕の表情を見せているのは社長だった。

「チッ…、んだよ……………」

社長はその惨劇を目にし、慌てて桜井達のほうへ駆け寄る。

「おい朝比奈…!お前何をやって………、さっ、桜井…!!大丈夫か…!?
 なんだって、こんな……………!」

試合でも通常見られない程に弱り、傷だらけになり、汚れ尽くした桜井を心配する社長を横目に、
無言で立ち去ろうとする朝比奈。

「こら朝比奈!待て…!
 一体どういう事だ…!?説明しろ…………!!」

だが朝比奈は答えない。社長が相手であろうと、一切反応する事無く道場の扉へと歩いてゆく。

「桜井…!しっかりしろ!桜井…………!
 おい、待て朝比奈……!!お前、こんな事をして……………!!」

社長の呼びかけを無視し続けていた朝比奈が、道場から一歩出かかったところで立ち止まり、
上体を少し後ろへ倒し顔をこちらへ向けながら、

「言っとくけど社長ー、ソイツが先に手ぇ出してきたんだかんな…。」

朝比奈はどこか面倒臭そうな喋りで、そう一言残して去っていった。

「何…? おい!朝比奈…!朝比奈……!!くそっ………」

朝比奈を追いかけようにも、まず桜井の状態が心配であり、離れるわけにはいかなかった。

「おい山本、本当にそうだったのか…!?一体どうした……?」

「えっ……、それは………その…、あっ…あの……………」

山本は一部始終を見ていた。だから、朝比奈が最後に言った事が事実である事はわかっている。
だからといってあれだけの暴行を受け、実際目の前に見える桜井を状態を目にしては、素直に答え辛かった。

「山本………!」

833りょっとも:2009/08/01(土) 00:03:44
8.
なかなか答えられない山本に、社長も少し強く、答えるよう促そうとする。
その時、桜井が苦しみながら声を発する。

「しゃ………ちょ…ぅ……………」

「桜井……!」

「桜井さん! 大丈夫ですか……!?」

「手を……出したのは…、私のほう………です…………全て私が…悪…………っ」

弱々しい言葉で自分に非があると説明する桜井。
それを聞き、焦りを見せながら山本が社長に訴える。

「っ、で、でも……っ、桜井さんは…っ、その……………!」

「山本! …どんな理由があろうと、プロレスに関係無く手を出してはダメだ……。」

「で…、ですが………」

「…だが………、だからって、それに対してこんな事をやって良い理由はならないが………。
 桜井、どうだ?起きられそうか…?」

社長は、桜井の身体に優しく手を回す。
だがそれを振り解きながら、桜井はボロボロの身体で立ち上がろうとする。

「おいっ、桜井……」

「桜井さん、あまり無理は………!」

今にも崩れ落ちそうになりながら、よろよろと時間をかけて立ち上がる。
壁にもたれながらなんとか立ってはいるが、とても見ていて安心できる様子では無い。

「お騒がせ……致しました…………、失礼…しま……す………」

ガクガクと震える脚で、壁に体重を預けながらにしてなお崩れ落ちそうな様子で、ゆっくりとその場を去ろうとする桜井。

「待て!そんな身体でどうする気だ……!?こんな時ぐらい、素直に…………」

「そうですよ…!怪我も酷いはずです、待って下さい…!ひとまず、手当てを………」

桜井は、慌てて駆け寄る2人を尻目に、ひたすら1人で立ち去ろうとする。

「大丈夫……です………。
 ご心配には………及びませ……ん…………」

「っ! 桜井……!!!!」

弱々しく言葉を搾り出した桜井の身体は、フッと最後の力を失い、その場へ崩れ落ち、うつ伏せに倒れる。

「いやっ…!!桜井さん…!?桜井さん………っ!!」

「桜井…!聞こえるか……!?おい、しっかりしろ………!!」

「そんなぁ……っ、桜井さん…、桜井さあぁぁん………っ!!」

2人の呼びかけに対し反応は無く、完全に取り乱してしまった山本。
社長も焦りの色を隠せない。

必死に声をかけるが、桜井は完全に意識を失ってしまっていた。
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