348 :名無しさん:2009/11/24(火) 16:02:30 ID:l3LiDzSE

外道社長シリーズの話が盛り上がっていたので、自分も書いてみようと思います。
需要あるかは微妙なところですが、中森あずみ×草薙みことです。優しい中森あずみが好きな人はスルーの方向でお願いします。
これまでの外道シリーズとは何の繋がりもないです。完全なパラレルだと思ってください。
また、文章を書くスキルがないので読みにくいかと思いますが、楽しんでいただければ幸いです。



1.
アメリカの民俗学者であるジャン・ハロルド・ブルンヴァンは、都市伝説を「口承の歴史」あるいは「擬似的な歴史」と定義している。
つまり、都市伝説とは民間における【普通の人々によって語られ、信じられている噂】なのだ。
一つ一つの集落が閉じられた世界だった頃、その土地特有の民話や伝説が語り継がれていたが、
現代社会において地域的閉鎖性は解体されたといえる。
これは、ただの【噂】が【普通の人々によって語られ、信じられている噂】になるための背景が消滅してしまったことを意味する。
では、都市伝説は何を背景として噂話から確証のない真実へと昇華されるのか?
それは、都市化に伴って新たらしく生み出された学校や芸能界のような独自の閉鎖性を持ったコミュニティではないだろうか。
これはそんな独自の閉鎖性を持つ業界、女子プロレス業界に伝わるひとつの噂、『地下闘技場・外道社長』に関する都市伝説である。


『これはね、先輩から聞いた話なんだけど――』

349 :名無しさん:2009/11/24(火) 16:03:54 ID:l3LiDzSE
2.
【東京某所地下闘技場】

異常な熱気だった。決して騒がしいわけではない。むしろ、プロレスの会場であることを考えれば静か過ぎる。
観客の数も五百人に満たないだろう。しかし、客層が異様だ。フォーマルな服装に身を包んだ紳士や煌びやかなドレスで着飾った婦人は、顔を面で隠している。
常識とはかけ離れた世界だった。そして、なにより――。

「……まるで殺人すらも許容するような邪悪な空気」

草薙みことは、コ―ナーに預けた背中がじんわりと汗ばむのを感じた。
控え室で見たひとつ前の試合、終了のゴングが鳴り響いたときには壊れた人形がリングに横たわっていた。
みことは知っていた、壊れた人形の名前も壊した人間の名前も。サンダー龍子と石川涼美、かつて日本最強の一角を担っていたタッグチームである。
どういう経緯でこの地下闘技場で闘っていたのかは分からない。
ただひとつ言えることは、サンダー龍子は二度とリングに上がることは出来ないということだけだった。

「……中森先輩、どうしてこんなところで試合なんて」

拳を硬く握る。


みことの三年先輩で教育係だった中森あずみが引退したのは、ちょうど三年前の三月だった。
当時、尊敬する先輩の引退宣言にみことは驚きを隠せなかった。
中森は地味選手だったが、技量はハイレベルを維持し体力も衰えていなかった。ましてや、スキャンダルを起こすような人柄でもない。
不可解な引退に、団体選手の誰もが不審に思ったが、中森あずみ自身に『家の都合だから』と言われてはそれ以上追求することは出来なかった。
せめて、尊敬する先輩の門出を祝おうと、引退試合の対戦相手に立候補した。
一ヵ月後にタイトルマッチが迫っていたため、経営陣には猛反対されたが、みことは決して譲らなかった。


それから三年の月日が流れ。
日々の忙しさの中で、中森のことを考えることもなくなってきた頃、ひとつの噂を聞いた。
『中森あずみが地下闘技場で試合をしている』
半信半疑のまま、探偵を雇い調査を開始した。
調査結果によると『地下闘技場』とは、ある団体が特別な客層に対して行っている興行のことであり、ルール無用の『なんでもあり』の試合をしているようだった。
そんな団体で、仕事人と呼ばれた中森あずみが試合をしているなど俄かには信じられなかったが、他に手がかりがない以上その線で調べるしかなかった。
そして、いま草薙みことは地下闘技場のリングで対戦相手を待っている。
やがて、聴き慣れた入場曲が流れ出す。憧れだった先輩の入場曲、会場の花道に現れたのは間違いなく中森あずみ本人だった。
リングで対面する。不可解な別離から三年、草薙みことはうれしさのあまり涙が出そうになるのを必死に堪えた。

「お久しぶりです。中森先輩」

右手をさしだした瞬間、ドンと鳩尾に鈍い衝撃が走った。

350 :名無しさん:2009/11/24(火) 16:05:01 ID:l3LiDzSE
3.
「かはっ!? な、な……で」

横隔膜を衝撃が駆け抜け、苦しさのあまり膝をついてしまう。
上手く呼吸が出来ず、口からでた言葉は意味のない喘ぎにしかならない。

(鳩尾に突きをくらった? なんで、まだゴングも鳴っていないのに)

そう、ゴングはまだ鳴っていない。鳩尾に突きを食らって膝をついた後も。普通ならここで慌ててゴングが鳴らされるはずなのだ。

「いつまで膝をついているつもりですか? みこと、試合はとっくに始まっていますよ」

かつてと同じ厳しさと優しさがない交ぜになった声色に促され、息苦しさに耐えながら立ち上がる。
そこには、呆れ顔の中森の姿があった。

「げほっ――不意打ちなんて!?」
「不意打ち? まったく……貴女は三年前と変わりませんね。本当に迂闊です」

必死で呼吸を整えるみことを冷たい視線が刺し貫く。

「ここは地下闘技場です。ゴングもルールもレフェリーも何もない。これがどういうことか理解できますか?」

理解したくもない。みことはゆっくりと首を振った。

「ここでは両者がリングに上がった瞬間から試合が始まり、観客の皆さんが満足するまで『なんでもあり』の試合が続きます。そう、満足するまで永遠に。
 ……説明はここまでです。そろそろ観客の皆さんが退屈してくる頃でしょうから」

腰を低く落として戦闘体勢に入る中森あずみに対して、みことは拳を前に構える。

(試合を終わらせて、その後ゆっくり説得しよう。今は戦いに集中しないと)

雑念を振り払い、相手の動きに確実にくるであろうタックルに全神経を集中する。
どれくらい時間が経っただろうか。互いの隙を探り合う時間が続いていた。
先に動いたのは中森だった。無駄のない弾丸のようなタックルがみことに迫る。

(いまだっ!)

ギリギリにまで迫った中森の顔面に膝を蹴り込む。
鮮血が舞った。

351 :名無しさん:2009/11/24(火) 16:06:18 ID:l3LiDzSE
4.
手応えが軽い。
膝が当たるか当たらないかのギリギリのラインで首を捻って直撃を避けたのだ。
みことの膝は相手の鼻を掠め、鼻腔を出血させたが、その代償はあまりにも大きかった。
渾身の膝蹴りを避けられ、サブミッションを得意とする中森のまえに、蹴り足と軸足を無防備に晒してしまったのだ。
蹴り脚の膝裏に腕を回され、軸足の足首を掴まれる。それとほぼ同時に腹に中森の肩が密着する。

(寝技に持ち込まれる!?)

みこと自身寝技が不得手というわけではないが、やはり中森には及ばない。
だが、みことはギリギリのところで活路を見つけた。
タックルの体勢で無防備になった中森の首に腕を回し、フロントチョークの体勢へ引き摺り込む。
勢いのまま完全にフロントチョークが決まりかけたとき、みことは不自然な浮遊感を感じた。中森がウェイトの軽いみことを力任せに持ち上げたのだ。
迫る天井のライトが眩しい。そして、次に見えたのはブルーのマット。
後ろへ投げ落とされる。水車落としだ。
受身を取るため首に回した腕を抜こうとしたが、軸足を持っていたはずの手が、みことの腕をがっちりと固定し抜くことが出来なかった。
その結果、

「か、がはっ」

不完全な受身のまま背中から叩き落され、あまりの衝撃に肺の中の空気が強制的に押し出される。
警鐘が鳴り響く。霞む視界には、みことの鳩尾にエルボードロップを放とうとする中森の姿が映った。
必死で横転し避ける。立ち上がろうとしたとき、痛めた背中に激痛が走った。
時間にしてほんの数十秒の攻防。だが、草薙みことがこれまで行ってきたどんなプロレスとも違う。

(受身を取らせてもらえない)

なんでもありの真剣勝負なら当然だった。

「ここの試合がどういうものか理解できましたか? ならば全力でかかってくる事です。それが私の望みでもあるのですから」
「……わたしも全力でいきます」

軽く息を吐き呼吸を整え、拳を構える。
みことの応えに満足そうに頷くと、中森もまた拳を構えた。
投げ技を得意とする草薙みこととサブミッションを得意とする中森あずみの打撃戦。相手の隙を窺い作り出すための打撃の応酬。
純粋な打撃戦では、みことに軍配が上がった。
執拗なボディ打ちを嫌がった中森がガードを下げたところを、みことの渾身の掌打が中森の細い顎を打ち上げたのだ。
ガクリと膝の落ちかけた中森の側面に回りこみ、脇下へ頭を潜り込ませるようにして組み付き、片腕で首の付け根あたりを、もう片方の腕で腰を抱える。

「いきます! 草薙流兜落とし」

腰と膝のバネを生かして相手を持ち上げ、一気に後方へ投げる。
草薙流古武術奥義兜落とし。掛けた相手に十分な受身を取らせることなく後方へ落とし、頚椎や肩に深刻なダメージを負わせる草薙流の業である。

352 :名無しさん:2009/11/24(火) 16:07:25 ID:l3LiDzSE
5.
衝撃がリングを揺らした。
素人の目から見ても危険な落ち方に、観客が発する熱気が膨れ上がる。
死神とダンスを踊るような危険な試合。そのスリルこそが地下闘技場の売りだ。

(……さすがに立てないでしょう)

みことは痛む背中を庇うようにゆっくりと起き上がり、そこで信じられないものを見た。
中森あずみが膝をつきながらも、立ち上がろうとしていたのだ。
自然と体が動いた。膝をついたまま荒い呼吸を繰り返す中森へ蹴りを放つ。
それは武人としての性か。いまなら仕留められる、仕留めなければどうなるか分からない。
勝利への高揚と敗北への不安が、みことを突き動かした。
だが、

「シッ!」

中森の頭部を狙った蹴りは、受け止められてしまう。
次の瞬間、膝を激痛が駆け抜け、リングに叩きつけられる。

「ひぁっ!?」

中森の得意技ドラゴンスクリューが膝に喰らいつき、みことに声にならない悲鳴をあげさせる。
流れるような動作だった。蹴りの勢いをそのまま利用した仕事人の一撃。同じ団体で試合をしていたころとは、威力が段違いだった。
予想を遥かに超えた痛みに膝を抱えて蹲るみことの脚に中森が絡みつく。抱えていた脚を伸ばされ、そのままアキレス腱固めを掛けられる。

「痛い、いっ、いやぁ」

アキレス腱が圧迫され、与えられる痛みに必死で耐える。
一分近く責め続けられ、みことの上げる悲鳴が掠れだしたころ、ようやく技が解かれた。

「いい悲鳴を上げますね、みこと。観客の皆さんも悦んでおられるようだ。しかし、如何せん技が地味過ぎましたね」

かつて同じ団体で過ごしていた頃と変わらない顔が、みことには恐ろしかった。
両腕に懇親の力を込め、必死で距離をとる。逃げられないと分かっていたとしても。

「ぐぇっ」

這うように逃げるみことの背中に、中森の両膝がのせられ、さらに両足と首が抱え込まれる。

「がふぅっ!!…………うううぁぁぁあっ!」

みことの身体が真上を向いて大きく反りあがる弓矢固めが極まった。
中森の両脚が真上に伸びると、それにあわせてみことの腰も高く突き上げられ、呻き声が掠れていく。

353 :名無しさん:2009/11/24(火) 16:08:55 ID:l3LiDzSE
6.
「……楽しい。真剣勝負というのは本当に楽しいですね。この団体にきて、プロレスが楽しいものだと思い出すことができた」

みことの腰をギリギリと痛めつけながら、中森あずみは嬉しそうに語る。

「あの団体にいた頃は本当に窮屈で仕方なかった。
 『次のタイトルマッチは誰某に譲れ』『誰某はタイトルマッチの前だから本気でやるな』、本当に煩い社長でした」

中森の独白にみことは目を見開く。
それはいったいどういうことだ? 痛みが邪魔で思考が纏まらない。

「簡単なことです。あの煩い社長は、南利美や桜井千里、そして貴女のような将来有望な選手を育てるために、私をピエロに仕立て上げたのですよ。
 私はファイターにもアスリートにもなれなかった。舞台を盛り上げた目のピエロにしかなれなかった
 でも、それも仕方ないことだと思います、団体も大切な時期でしたから。だから、私も仕事と割り切って団体に尽くしたつもりです。でも……」

言葉が切られる。中森は激情を持て余すように、よりいっそうみことの身体をそり上げていく。
みことの口から掠れた悲鳴が漏れる。だが、力が弱まることはない。
その容赦のない責めは、かつてリングの仕事人と呼ばれたレスラーとは別人だった。

「解雇されたんですよ、表向きは引退ということになりましたが。どうにも超大型の新人がいたようです。みこと、心当たりはありますか?」

痛みのあまりぶつ切りになった思考のなかに、思い当たる人物がいた。身長2メートル近い怪力を持つ少女。

「まぁ、いまさらどうでもいいことです。
 貴女が何のためにこのリングに上がったのは知りませんが、私はこの団体を辞めるつもりはありません」

技が解かれ、リングに解放される。
だが、それも一瞬だった。口の中に中森の手が入り込み内側から頬を引っ張られ、無理矢理立たされる。
無理に抵抗すれば頬が裂ける。立つことすら儘ならないみことの身体をロープに貼り付け、中森はだらしなく開かれた股間を思いきり蹴り上げた。

「ひぎゃっ……うぅぅっ」
「まだそんなに良い悲鳴を上げる元気があるなんて、さすがですね。ですが、お漏らしはどうかと思いますよ。……女性として」
「いやぁ……いわ……ないで」

痛みと羞恥、そして屈辱で顔が紅くなる。
自身が作った黄色の水溜りに股間を押さえて悶絶する、みことの長くきれいな髪が掴まれる。
股間を押さえる両腕の脇からがっちりとクラッチされ、リバースフルネルソンを決められてしまう。

354 :名無しさん:2009/11/24(火) 16:10:04 ID:l3LiDzSE
7.
足がリングから離れるのを感じた。次の瞬間には天井のライトが見え、そして、衝撃が全身を襲った。

「っぎゃうっ!!」

ダブルアームスープレックス。しかも、叩きつける瞬間までクラッチを解かない本来のダブルアームスープレックスだ。
無論受身は不可能。
だが、不思議と痛みはほとんど感じなかった。ただ、ぴりぴりと身体が痺れるだけだ。
天井のライトが陰る。中森あずみがすぐ傍にいた。

(でも、もう何も出来ない)

目を開けていることすら億劫だった。

「昔話の感想を聞こうと思っていたのですが、その余裕はなさそうですね。
 最後にいい悲鳴を聞かせてください。その悲鳴を聞いているときだ、私は試合をしている実感を得ることが出来る」

ドラゴンスクリューとアキレス腱固めで痛めつけられた脚に、中森の身体が絡みつく。動くことすら儘ならないみことには抵抗は不可能だった。
中森が身体ごと外側へ捻られる。ヒールホールドだ。
ブチブチと膝の人体が断裂していく音が耳に鳴り響いた。

「ぃぃいいぎぎぎぃぃあぁぁぁぁぁあぁぁあああぁぁぁっ!!」

空気を切り裂くような悲鳴が会場に轟く。痛みを感じなくなっていたはずの身体を、激痛がスピードレーサーの如く駆け抜ける。
草薙みことの悲鳴は止まない。それに呼応すように静かだった観客から歓声が上がった。
会場にいくつもの札束が投げ込まれる。試合終了だった。
中森あずみは白目を向いて失神した草薙みことから技を解き、敗者を一瞥することなくリングを去った。

355 :名無しさん:2009/11/24(火) 16:12:15 ID:l3LiDzSE
8.
ゴクリ、話を聞いていた若手トリオが喉を鳴らす音を聞いて、越後しのぶは満足そうに頷く。

「つまり、この話はいくら将来有望な若手選手がいるからといって、古株の選手を袖にしていると痛い目にあうという教訓からできた話だ。
 まあ、主に若手社長なんかを諌めるときに使われてきたんだ」
「じゃあ、作り話なんですか?」

永原の質問に越後はうーんと唸ると、

「……わからない。まあ、何で引退したのか良くわからない先輩とか、たまにいるからな。もしかしたら……」

凄みを利かせた越後の表情に、若手トリオは震え上がる。

「冗談だ、大丈夫だよ。それに、うちの社長はいい人だから」

越後が安心させるように笑いかけたとき、バタンと扉が開け放たれ、弾丸のように菊池理宇が飛び込んでくる。

「大変大変、イージス中森先輩が今季限りで引退するんだって」
「「「「えっ!?」」」」

話を聞いていた若手トリオだけでなく、越後までもが思った。
もしかしたら、と。
こうして『地下闘技場・外道社長』の噂は伝わっていく。
肯定する確証も否定する確証もないままに。形を変えながら、真実と嘘ををない混ぜにして、プロレス業界という閉じた世界の中を深く深く。
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