477 :名無しさん:2009/12/31(木) 16:01:22 ID:LZjudlAk
まったくの総合格闘技に関しては全くの無知ですが、マイティ祐希子の年末総合戦投下したいと思います。


1.
年の瀬を感じさせない気迫のこもった掛け声がWARS道場に響く。ある者は筋力トレーニングを、ある者はサンドバックを蹴り、またある者はリングの上でスパーリングを。誰も彼もが真剣なまなざしで自身の身体を虐め抜いていた。
そんな中、一際大きな身体のレスラーがキョロキョロと辺りを見回していた。大空みぎり、数ヶ月前にWARSに移籍してきたレスラーである。
幼さの残る顔立ちでは合ったが、身長は2メートル近くあり肉付きも良く、パワーファイターとして人気を博していた。

「石川せんぱ〜い。どこですか〜?」
「みぎりちゃん? ちょっと待っててね」

大柄な少女が叫ぶと、遠くからのんびりとした返事が返ってくる。程なくして、パタパタと階段を下りる音が聞こえ、石川涼美が道場に顔を出した。

「ごめんね、社長に呼ばれてて遅くなっちゃいましたぁ。それでなにか用事ですか?」
「すいません、忙しかったですか〜。えーっと、総合形式の試合のことで聞きたいことがあるんですぅ。龍子さんに聞いたら石川先輩が経験者だから聞いて来いって」
「ああっ!! みぎりちゃん、年末に新女の祐希子さんと総合戦やる予定でしたね」

ポンッと両手を合わせ、合点がいったという顔になる石川。だが、その顔がすぐに難しい表情をつくる。

「私も去年総合戦やりましたけど、良くわかんなくて。とりあえず馬乗りになって、顔に拳を振り下ろしたら勝っちゃいましたから。特に教えることはないですねぇ」
「そうですか〜。じゃあ、馬乗りになって顔面を殴りつけたらいいんですね」
「審判が止めるまで『本気』で殴りつければいいんですよ。後はコーチと相談してくださいね」
「わかりました。全力で頑張ります〜」

ドタドタとコーチに走っていくみぎりを笑顔で見送る石川の肩に手が置かれた。振り返れば、小川ひかるが非難するような視線を送っている。

「どうしたんですか?」
「あんな教え方したら、祐希子さん試合で壊されちゃいますよ。石川さんだって、大空さんが『本気』でマウントパンチしたらどうなるか分かってるはずです」

肩を掴む手に力が込められるが、石川は特に気にすることなく笑顔で続ける。

「いいじゃないですか、壊れたって。新女さんも承諾しているんですから」
「そうやって、葛城早苗さんも壊したんですね」
「……大晦日が楽しみですねぇ」

肩を掴む小川の手をあっさり払うと、石川は話は終わりだとばかりに去っていく。
小川の脳裏に去年のWARSと他団体の共同興行で行われた総合戦の惨劇がよぎった。
葛城早苗の腹に馬乗りになって、マウントパンチを繰り返す石川涼美。
試合はTKOで石川が勝利し、血達磨のように顔を赤く腫らした葛城は担架で運ばれ、その後二度とリングに上がることはなかった。

「どうか、今年は無事に終わりますように」

小川は祈るように呟きは、WARS選手達の気合の篭った掛け声の中に吸い込まれていった。

478 :名無しさん:2009/12/31(木) 16:02:43 ID:LZjudlAk
2.
12月31日。新日本ドーム。
55000人を収容できるマンモスドームを人が埋め尽くしていた。来客数は100パーセントを超えていただろう。
数万人の熱い視線がリングで対峙する二人のレスラーに注がれる。
炎の戦士マイティ祐希子と生物兵器大空みぎりの総合戦。多くのファンが試合開始を今か今かと待ち焦がれていた。
そして、ゴングが鳴る。惨劇の夜がいま始まった。


ゴングと同時にマイティ祐希子は飛び出した。相手の間合いにギリギリから一気に跳躍し、フライングハイキックをみぎりの顔に叩き込む。

「きゃあっ!?」

巨体をぐらりとよろめかせるみぎりの脚に鋭いローキックを飛ばし、膝が一瞬落ちたところに、ミドルキックが肝臓を打つ。完全に膝が落ちたところに、止めとばかりにシャイニングウィザードを敢行する。
みぎりの頬に祐希子の膝がめり込む。ズンッと重い音を立てて、みぎりが倒れ込んだ。
奇襲からの電光石火のコンビネーション。炎の戦士マイティ祐希子らしい鮮やかな試合だった。
だが、マイティ祐希子はどこまでもプロレス王者だった。すぐに寝技に持ち込まずに、ファンへのアピールを欠かさすことなく行う。それが命取りになると知らずに……。
ファンの声援に拳を高く上げ応えていた祐希子だったが、ファンたちの声援が急に止み、ざわめきが広がる。

「!?」
「いたたた。さすがは王者さんですね。油断してました〜」

口端から血を流しながらもしっかりとした足取りで大空みぎりが立ち上がっていたのだ。
何食わぬ顔でファイティングポーズをとるみぎりに合わせ、祐希子もファイティングポーズをとる。だが、内心かなり焦っていた。

(あたしの本気のコンビネーションを受けてピンピンしてるなんて……)

総合戦では、祐希子が最も得意とするトップロープからのダイブ技などは使えない。つまり祐希子にはこれ以上の手がないのだ。

(……地道にダメージを与えていくしかないか)

祐希子はジリジリと間合いを計るように距離を詰める。それに対して、みぎりはノーガードで祐希子に向かって歩いてきた。
ブンッとみぎりの右フックが空を切る。あまりにも遅いテレフォンパンチ。
祐希子はこれを余裕で避け、がら空きになった顔にハイキックを見舞う。ガンッと固い感触が足に伝わるが、それだけだった。みぎりの常人より遥かに太い首に邪魔され蹴り足を振り抜けなかったのだ。

「捕獲完了しました〜」
「それで勝ったつもりッ!!」

片足を掴まれても焦ることなく、にこやかに笑うみぎりの顔を蹴り飛ばすべく軸足にしていた足を振り上げる。だが、それよりも早く祐希子の身体は冗談のように上方へ向けて加速した。

479 :名無しさん:2009/12/31(木) 16:06:10 ID:LZjudlAk
3.
「!?」

みぎりが祐希子のを足を掴んだまま、一本背負いの要領で投げ飛ばしたのだ。
眩しいライトが視界に入る。だがそれも一瞬だった。視界はすぐに青いマットへと移り、祐希子はそのまま顔面から叩き付けられた。

「――ッ!!」

朦朧とする視界に映る青いマット。それを見て自分がうつ伏せで倒れ込んでいるのだと理解する。

「がはっ……うぐぅ」

脇腹を蹴りつけられ、仰向けにされたところで腹部に何か重量のあるものが圧し掛かった。
霞みがかった視界が次第に晴れていく。そこには自分の腹の上に馬乗りになった大空みぎりが嬉しそうに笑っていた。

「良かった、目を覚ましてくれたんですね〜。
 ここからが面白いって石川先輩に聞いてたのに、先にネンネされたらどうしようかと心配しちゃいました」
「何を……言って?」
「じゃあ、一発目いきますね」

困惑する祐希子の顔面に、強烈なマウントパンチが振り下ろされた。

「ぐぅっ!?」
「そぉっれッ!!

マウントパンチはその技の性質上、防御する側の頭の下はマットであるため、パワーを逃がすことが難しく、ダメージが蓄積しやすい。
そこに、みぎりの規格外のパワーである。ガード越しに二発三発とパンチを打ち込まれるだけで、祐希子には相当なダメージが通っていた。

「もっともっといきますよ〜。頑張って耐えてくださいね」

さらに雨のようにパンチが降り注ぐ。祐希子にはただガードするしか術がなかった。
みぎりのパンチを必死でガードする祐希子だったが、やがてガードに使っていた腕に限界が生じる。

「ギィイヤァァァァッ!!」

プロレス王者の絶叫がドーム全体に響き渡たった。みぎりのハンマーのごときパンチを防いでいた祐希子の腕が鈍い音ともに折れたのだ。

480 :名無しさん:2009/12/31(木) 16:08:22 ID:LZjudlAk
4.
新女側のセコンドが慌ててタオルを投げ込み、レフェリーも攻撃を続けようとするみぎりを静止に掛かる。
だが、そこに運命の神の悪戯があった。試合を止めようとしたレフェリーの顎にみぎりが振り上げた拳が突き刺さったのだ。レフェリーは吹き飛び、一時的に試合を止めるものがいなくなった。
そして、悲劇がおこった。折れた腕を抱え、激痛に歯を食いしばる祐希子の顔にみぎりの拳が振り下ろされたのだ。

「おごぉっ!! げぶぅぅ!! がふっ!!」

一発ではない。何発ものパンチが祐希子の顔面を強打する。
鼻が潰れ血が噴き出る。額が切れ血が流れ出る。口の中が切れ血が零れ出る。

「アハハハっ!! これは楽しいですね〜」

無邪気に笑いながら、拳を振り下ろす大空みぎり。その拳には折れた祐希子の歯が突き刺さっていたが、興奮状態の少女は気付かない。
悲鳴を上げなくなった祐希子の股間から温かいものが流れ出す。それは敗者を彩るに相応しい屈辱の証だった。
やがて新女とWARSのレスラー、そしてレフェリーによって、炎の戦士マイティ祐希子は助け出され、担架で医務室へと運ばれていった。


――試合後選手控え室――

「新女のレスラーさん達が怒ってましたけど、龍子先輩や石川先輩は褒めてくれましたし、また来年もやりたいですね〜」

試合後、大空みぎりは独り大きく伸びをすると、団体の仲間が待っている祝勝会の会場へと向かうため、選手控え室を後にした。
こうして、大晦日の夜を嘲笑うかのような惨劇に幕が下ろされた。だが、惨劇はこれからも続くだろう。それを望む声がある限り。
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