78 :名無しさん:2009/09/16(水) 00:31:12
決戦を控えた龍子のドレッシングルーム。
人払いがされ、室内にいるのは龍子のみ。
30分という気休めにしかならない時間で、満身創痍のその身を休める龍子。
気を抜けば、すぐに深い眠りに吸い込まれそうになる。
「ちょっと・・・!困ります!」
ドアの外の言い争うような声が、半ば眠りに堕ちそうになっていた龍子の意識を呼び戻す。
扉が開かれ、現れたのは銀色の長髪をなびかせた、スーパーモデルもかくやというスタイルの美女。
フレイア鏡。
今シリーズ、この団体に参戦していたフリーの大物の一人であり、王者、八島静香への次期挑戦者と噂されていた人物でもある。
「龍子さん、すみません・・・すぐに・・・」
フレイアを引き止めようと、その体にしがみついていた小川が、龍子に謝罪する。
「ひかる、いい・・・大丈夫だ、出てろ。」
「でも・・・」
「大丈夫だ」
「・・・ハイ」
不安気ながらも龍子の声に従い、部屋を出る小川。静かに扉が閉まる。
座ったまま、目の前に立つ鏡を見据える龍子。
「割り込まれて不満かい?安心しなよ、あんたの挑戦は受けるさ。あたしが王者になってね」
微笑を浮かべる鏡。
「あら、そんなんじゃありませんわ。私はただ、激励に来ただけ・・・」
「・・・・・・。」
「先ほどの朝比奈達との闘い・・・素晴しかったですわ。私は、貴方の姿にすっかり魅了されてしまいましたわ。
 そう・・・無骨で野卑な輩達に嬲られる貴方の姿・・・今でも目を閉じれば、はっきりと・・・」
そっぽを向いてつぶやく龍子「変態女が・・・」
「そんなことを言いにわざわざ来たのかい」うっとりとして続ける鏡をさえぎる。
飲みかけの水を一気に飲み干し、鏡に向き直る。
「悪いけど、今度にしてくれるか。アンタの戯言は、リングの上でゆっくり聞いてやるよ」
妖艶に微笑む鏡「そう・・・楽しみにしていますわ。またいずれ、会いましょう」
悠然と踵を返し、扉を開く鏡。
扉の外で、何かあればすぐに飛び込もうと待機していた小川には視線すら向けず、扉をくぐり部屋の外へ出る。
鏡が出るや否や、室内に入り、中からロックをかける小川。
ロックされた扉を背にし、くすくすと笑う鏡。
控え室にいたわずかな時間に、鏡が起こした小さなアクション、それに龍子は気づかなかった。

挑戦者龍子と、王者八島の入場を待つ場内。
リングへ向かって歩を進める美女の存在に気づき、ざわつく観客席。
フレイア鏡は、リングサイドまでやってくると、本部席前にイスを置いて座り、優雅に脚を組む。
思わぬ人物の登場に、戸惑いの表情を浮かべる正規軍の若手達。
そんなざわついた空気を切り裂いて、場内に龍子の入場テーマが鳴り響く。
小川に先導され、入場してくる龍子を、大歓声で迎える観客達。
リングサイドの鏡には、一切視線を向けず、その前を通り過ぎてリングに上がる龍子。
龍子に向けられた大歓声をかき消すように鳴り響く八島静香の入場テーマ曲。
村上姉妹を引き連れて姿を現す、王者・八島静香。
大歓声とブーイングが入り混じる中、ベルトを左肩に、右手に木刀を携えて、堂々とリングへ向かう。
リングサイドのフレイアの前で立ち止まる八島。
「余計な真似はするんじゃないよ。アンタの相手は、この次にちゃーんとしてやるからさ」
八島の眼光を受けても怯まず微笑むフレイア鏡。
「あら・・・マスコミやファンが何を言っているのか知りませんけど、私は貴方と敵対する気はありませんわ」
「ふん、そうかい」
鏡に背を向け、リングに滑り込むと、木刀を携えた右腕を突き上げる八島。
沸き起こる大歓声とブーイング。
そして、試合開始のゴングが鳴り響く。
83 :名無しさん:2009/09/17(木) 02:07:13
シリーズ最終戦、メインイベント後に急遽組まれた特別試合。
挑戦者・サンダー龍子vs王者・八島静香のヘビー級王座戦。
共に、本日二試合目の両者だが、その身に刻まれているダメージの深さは、あまりにも違う。
楠木悠里を挑戦者に迎え、格の差を見せつけ完勝した八島に対し、
龍子は、朝比奈優香等四人の私刑を受け続け満身創痍。本来ならば病院に直行しているべき状態で、
今リングに上がっている事自体が信じ難い程のダメージを、その身に負っている。
だが、満身創痍の龍子は、試合開始と同時にトップギアで走り出す。
短期決戦、今の自分にはそれしかないと、試合開始と同時に残り少ない力を全て吐き出さんばかりに。
龍子の勢いに、王者八島が、一瞬たじろぐ。
一気にラッシュをかける龍子。
しかし、百戦錬磨の王者。龍子の勢いに飲まれかけた八島だが、踏みとどまり、激しい打撃を返していく。
いきなり、ガチガチの真っ向勝負でぶつかり合う二人に、熱狂する館内。
しかし、試合開始から五分が経とうかと言う辺りから、目に見えて龍子の勢いが落ちていく・・・。

体が思うように動かなくなり、最初は、早くも限界が来たのかと思った。
次に、熱く火照りだす体に、龍子は戸惑う。
体の芯から湧き上がって来る疼きが、龍子の思考を乱す。
動きは緩慢になり、膝がガクガク笑い、ついには立っている事すら出来なくなる龍子。
やがて、龍子の全身を甘い痺れが支配し始める。
リングに四つん這いになり、動かなくなった龍子を、容赦なく蹴り飛ばす八島。
「どーしたオラぁ!もう限界かい!?」
腹を蹴り上げられ、リングに転がる龍子。
「ぅぐ・・・あぁ・・・んっ・・・」
激しい痛みと同時に、別の感覚に襲われ、体を震わせる龍子。
「な・・・なんで・・・ぅっく・・・こんな・・・ん・・・」
必死に立ち上がろうとするが、ビクビクと体を痙攣させ、崩れ落ちてしまう。
「何だぁ?」
龍子の反応に、訝し気な表情になる八島。
リングに這いつくばりながら、自分を見つめる眼差しに龍子は気づく。
その熱し視線の主、フレイア鏡の妖艶な笑みを見たとき、龍子は自分が卑劣な罠に落ちていた事を悟る。
「お前っ・・・こんな・・・っく・・・」
四つん這いになったまま、フレイアを睨みつける龍子。
クスクスと笑うフレイア鏡。
「・・・そーいう事か」
龍子の反応を訝しげに見ていた八島が、忌々しげにつぶやく。
「くだらねぇ奴のくだらねぇ罠に引っかかりやがって・・・」
リングに唾を吐き捨て、四つん這いの龍子を蹴り飛ばす八島。
「ぅぐぁ・・・ぁう・・・ん・・・っく・・・」
無様に転がると、自分の体を抱き、背を丸め、ビクビクと痙攣する龍子。
「悪いが容赦はしないよ。このリングでアタシと向かい合った以上、きっちり潰させてもらう」
龍子を見下ろし、八島は言った。
88 :名無しさん:2009/09/18(金) 01:26:31
「アタシと向かい合った以上はきっちり潰す」
言い放った言葉の通り、動けない龍子相手に苛烈な攻撃を加える八島静香。
容赦なく蹴り飛ばし、踏みつけ、叩きつける。
反撃どころか、一向に立ち上がってこない龍子を引きずり起こし、背後から抱えあげると、トップロープへ股間から叩き落す。
「いぎぃいッ・・・!」
ロープに跨った格好のまま、体をビクビクと痙攣させ動けない龍子に、十分に助走をつけた八島のケンカキックが突き刺さる。
「オラぁ!これで終わりか龍子!こんな事で終わりか!」
龍子を引きずりあげ、張り飛ばし、首を抱え込むと、その腹へ膝を突き立てる。
「うえぇ・・・ぐえ・・・ッくふぅ・・・んぅう・・・」
リングに崩れ落ち、体を震わせ、呻く事しかできない龍子に、苛立ちを見せる八島。
「起きろコラぁ!」
龍子のポニーテールをわし掴みにし、強引に顔を上げさせる。
そして驚いたような表情を見せる八島。
強引に上げさせられた龍子の顔、その両の目からは大粒の涙があふれ、零れ落ちていた。

89 :名無しさん:2009/09/18(金) 01:27:56
海外から戻って以来、龍子はずっと八島静香を追い続けた。
幾多の修羅場を潜り抜け、その度に、体に刻まれていく傷を「誇り」と言い切る女帝。
八島静香を振り向かせるために、傷つき、血まみれになりながら闘ってきた。
それは、かつて八島静香が歩んできた道と同じ道。
その道の果てに、リングで八島静香と向き合ったとき、その眼光に、風格に、威圧感に、龍子は震えた。
恐怖ではない。それは歓喜の震え。その歓喜が、傷つき果てた体を引きずり上げた。
初めて八島と肌をあわせ、その強さが嬉しかった。
自分の追いかけたものは間違いではなかった。
だというのに・・・
醜態を晒している自分が情けなかった。
八島の失望したような目が悲しかった。
卑劣な傍観者の罠にはまった自分が悔しかった。
何より、八島静香を前に、全力で闘う事の出来ない自分が許せなかった。
全身を支配する甘い痺れに囚われ、混乱した龍子の頭の中に、様々な思いが交錯する。
それらの思いが、涙となって、止まることなく龍子の目からあふれ出す。
一瞬驚いたような表情を見せた八島だが、すぐにその表情は消える。
「がっかりだね、龍子。」
龍子の頭を両の太股に挟み込み、胴をクラッチし、龍子の体を真っ逆さまに抱え上げる。
「終わりにしようじゃないか」
八島の両脚がリングを蹴り、リングに頭から垂直に突き刺さる龍子の体。
脳天で直立し、数瞬の後に崩れ落ちる龍子。
マットに両膝を着き尻を掲げたまま、動かなくなった龍子を足で転がし、踏みつける八島。
レフェリーが、カウントが数える。
「ワン」「ツー」「スリ・・・」
八島の足を跳ねのけ、肩をあげる龍子。
ガクガクと体を震わせながら、立ち上がってくる龍子に、驚きの表情を見せる八島。
だがその表情は、どこか哀れみを帯びたそれに変わる。
体を震わせ、荒い息を吐きながら、ふらふらと八島に向かう龍子。
その涙に濡れた瞳は、もはや虚ろで何も映してはいない。
「いい根性してるじゃないか・・・」
八島が龍子の背後に回り、その両の腕を首に回す。
龍子の顔がみるみる高潮し、虚ろな瞳が裏返る。
半開きの口から舌が突き出し、泡を吹き、体がガクガクと大きく痙攣を始める。
慌ててゴングを要請するレフェリー。
八島が腕を解き、崩れ落ちた龍子に駆け寄る小川ひかる。
倒れ伏した龍子には一切目を向けず、ただ一点を睨みつける八島。
その怒りの視線の先で、微笑むフレイア鏡。
村上姉妹が八島に駆け寄る。
「姐さん、どうする?あれ・・・」
小川に解放されている龍子を、親指で指しながら村上千秋。
まったく視線を動かさずに八島が言う。「・・・好きにしな」
「へへ、そうこなくっちゃ」顔を見合わせ、ニヤリと笑う村上姉妹。
小川の介抱で、意識を取り戻した龍子を蹴り飛ばす千春。
掴みかかる小川を場外に叩き出す千秋。
千春が、いまだ茫然自失状態の龍子の首に、チェーンつきの首輪をはめ、引き絞る。
「オラぁ!テメェは今日からアタシ等の奴隷だぁ!」
チェーンに引かれ、無理やり四つんばい状態にされた龍子の尻を蹴り飛ばす千秋。
そんなリング上には一切目もくれず、リングを降りる八島。
入場してきた時と同じようにフレイアの前で立ち止まる。
「つまらない真似をしてくれたね。覚悟はできてるのかい?」
フレイアはただ微笑みを返す。
「何の事だか分かりませんわ。それに、あなたを敵に回す気は無い、そう言ったでしょう。」
「言ってろ女狐。いずれ、ケジメはつけてもらうよ」
振り返ろうともせず、村上姉妹をリングに残し、去っていく八島。
リング上では、村上姉妹が龍子を鎖で引き回し、晒し者にし続けている。

後日、サンダー龍子が、ヒール軍の所有物扱いとなった事が正式に発表された。
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